all the 比較級

all the 比較級 の the は副詞！

比較級を使った応用表現はたくさんあって、かなりの確率で頭が混乱するんですが、その中でも丸暗記に頼りがちなのが、「all the 比較級」という表現です。

all the 比較級 ＋ 理由＝ 〜なのでそれだけ/ますます...

none the 比較級 とか、派生形もいろいろあるので、ここでは丸暗記しなくていいように、背景を考えてみましょう！

まず、この the がなんなのかが大事なのですが、後ろに名詞ではなく比較級があるので、冠詞ではないんですよね。実はこれ、「その分だけ」という意味の副詞なんです。

これさえ押さえれば、あとは楽勝です。この文を考えてみましょう。

We admire him all the more for his honesty.

まず、元となる文はこれです。

We admire him.
（私たちは彼を尊敬している）

これに対して、何かの理由で彼への尊敬度が上がったとします。

We admire him all the more.
（私たちは、その分だけより彼を尊敬している）

all は単なる強調だと考えてください（なので省略もできます）。副詞 the の意味と、more の意味を考えればここは納得ですよね。

その分だけ、ということは、より尊敬するようになった理由が何か必要ですよね。それを後ろに付け足します。

We admire him all the more for his honesty.
（私たちは、彼の正直さによって、その分だけより彼を尊敬している）

カチコチなので整えると、

「彼は正直なので、私たちはより一層彼を尊敬している」

という意味になりますね！

理由を表す部分には、for＋名詞（句） だけではなく、もちろん because of＋名詞（句）や because の節でもOKですし、if 節など一見理由っぽくない表現も来ます。例えば上の文を because で言い換えるとこんな感じです。

We admire him all the more because he is honest.

練習問題

ではここで一つ練習問題です！次の文を訳してみてください。

She has been studying all the harder because she aims to go to that university.

【答】

She has been studying 〈all the harder〉 because she aims to go to that university.

all the harder の意味（その分だけより一生懸命）と、その理由が because 節で表されていることを踏まえると、

「彼女は、その大学に行きたいのでより一層一生懸命勉強している」

となります。

none を使った表現

all だけではなく、none がくっつく形もよく出てくるので、一緒に押さえておきましょう！

all は単なる強調でしたが、none にすると、「全く〜ない」と否定の意味になります。なので、

none the 比較級 ＋ 理由＝ 〜だからといってそれだけ...というわけではない/少しも...ない

という意味になります。all の方を理解しておけば、こっちは簡単ですね。やはり the のはたらきがカギです。

He worked none the harder because he became a leader.

→ 彼はリーダーになったので、その分だけより一生懸命働く、ということはなかった

→「彼はリーダーになったからといって、一生懸命働くというわけではなかった」

となります。ではもういっちょ。ちょいむずです。

We admire him none the less for his laziness.

→ 我々は、彼の怠惰さにより、その分だけより尊敬しないということはなかった（less は「より〜ない」でしたね！）

→「彼は怠惰だが、それでも我々は彼を尊敬している」

となります。否定が2つ入るとややこしいですね... でも成り立ちを押さえていれば、丸暗記しなくてすみますよね♪

nonetheless とか nevertheless とか、単語で暗記している人もいるかと思いますが、元はこの表現なんですよね。まとめて英単語にしちゃってるの面白いですよね。笑

補足

「その分だけ」という副詞の the を使った表現として、The 比較級 〜, the 比較級 という表現もあるので、一緒に押さえておきましょう！