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旧暦と年中行事


旧暦と年中行事

旧暦の名残で、1月〜12月の呼び方には異称がある。また、今と昔では少し(およそ1ヶ月)のずれがあり、季節感(四季)にもずれがある。

ここではまず、各月の異称の確認とどの季節に位置するかを確認し、どのような年中行事が行われていたのかを確認しよう!

古典における”春”(現在の1月から3月)

1月:睦月(むつき)

(1日)

  • 四方拝:早朝、清涼殿の東庭で、天皇が天地四方の神を拝礼し、その年の豊作と国家安泰を祈る行事。
  • 朝賀:午前中、天皇が群臣から賀を受ける行事。
  • 小朝拝:殿上人が天皇に拝賀する行事。
  • 元日節会:小朝拝の後、豊楽院(後には紫宸殿)で、天皇が群臣に宴を催す行事。

(7日)

  • 白馬節会:紫宸殿の前庭で、邪気をはらうとされる青馬を、天皇が見る。青は春の色で、平安時代に白い馬が用いられるようになっても「あおうま」と呼んだ。
  • 七草:五節句の一つで、春の七草を入れた粥を食べて無病息災を祈る行事。「人目」ともいう。

(11〜13日)

  • 県召の除目: 国司(地方官)の任命を行う行事。「春の除目」ともいう。

(15日)

  • 望粥:米・粟・黍・小豆などの七種の穀物を入れた粥を食べる。後世には餅を入れるようになった。

(18日)

  • 賭弓:弓場殿で、左右近衛府・兵衛府の舎人が行う競射を、天皇が見て、賞を与える行事。

(20日またはに23日までの子の日)

  • 内宴:仁寿殿で、天皇が公卿・文章博士らを召して内々の宴会を行う行事。詩が披講され、管弦の催しや舞が行われる。

(最初の子の日)

  • 子の日の遊び:野に出て小松を引き、若菜を摘んで長寿を祈る行事で宴会も開かれる。

(最初の卯の日)

  • 卯杖・卯槌:ひいらぎ・桃・梅などで作った杖(卵杖)と、桃の木で作った木槌(卵槌)を朝廷に献上し、邪気をはらう行事。

2月:如月(きさらぎ)

(4日)

  • 祈年祭:神祇官や団司の庁で、豊作や国家安泰を祈願する行事。

(15日)

  • 涅槃会:釈迦の入滅を追悼する法会。

3月:弥生(やよい)

(3日)

  • 曲水宴:庭園の流れに臨み、流れてくる杯が自分の前に着くまでに詩歌を作り、杯の酒を飲む行事。
  • 上巳の祓: 五節句の一つで、水辺に出て、人形により身の汚れをはらう行事。近世に至り、雛祭りに転じた。

古典における”夏”(現在の4月から6月)

4月:卯月(うづき)

(1日)

  • 更衣:装束や、几帳・壁代などの家具調度類を、夏のものに改める。
  • 孟夏旬:夏の初めにあたり、天皇が群臣を召して宴を催す行事。

(8日)

  • 灌仏会:釈迦誕生を祝う法会。釈迦が生まれた時、梵天・帝釈が甘露で洗ったという故事に基づいて、花で飾られた誕生仏に甘茶を注ぎかける。「仏生会」ともいう。

(中の酉の日)

  • 賀茂祭:上賀茂・下鴨神社の祭礼で勅使と斎王(賀茂神社に仕える未婚の皇女で、斎院ともいう)が賀茂神社に参拝する、その行列は盛大で、単に「祭り」といえば賀茂祭を指すほどであった。行列の牛車や人々の冠、家の軒などに葵の薬が飾られるので、「葵祭」ともいう。また、石清水八幅宮の「南祭」に対して、「北祭」ともいう。

5月:皐月(さつき)

(3日)

  • 献菖蒲:薬玉の材料にする菖蒲を献上する。薬玉は、五日の端午節会に、柱などに掛けて邪気ばらいとする。

(5日)

  • 端午節会: 五節句の一つで、本来「端午」は、月の最初の午の日を意味するが、「午」が「五」に通じるところから、五月五日を指すようになった。宮中では競馬・騎射を天皇が見て、家々では菖蒲が軒先にかけられる。後に、「菖蒲」は「尚武」と音が同じであることから、男子の節句とされるようになった。
  • 賀茂の競馬:上賀茂神社の境内の馬場で、左右の騎手二十人が、馬を走らせて競う。

6月:水無月(みなづき)

(30日)

  • 大祓:半年間の罪や汚れを祓う。十二月の大祓より六月の大祓のほうが広く行われる。宮中では朱雀門の前で祝詞が奏され、民間では水辺で禊ぎを行う。人形を流したり、茅の輪をくぐって汚れをはらったりもする。「水無月祓」「夏越の祓」ともいう。

古典における”秋”(現在の7月から9月)

7月:文月(ふづき・ふみづき)

(7日)

  • 乞巧奠:五節句の一つで、牽牛星と織女星が年に一度逢うという中国の伝説から、二つの星を祭る風習が起こり、これに日本の棚機姫信仰が結びついたもの。季節の物を供え、裁縫・詩歌・書道・音楽などの上達を祈る。宮中では、清涼殿の東庭に台を置いて供え物を並べ、天皇が七枚の梶の葉に和歌を昔く。「七夕」ともいう。

(15日)

  • 盂蘭盆会:祖先の霊を祭り、供え物をして読経し、供養する法会。宮中の清涼殿でも行われる。もともと、餓鬼道で苦しんでいる死者を救う仏事であったものが、一般化した。

(28・29日)

  • 相撲節会:諸国から集められた相撲人たちに、天皇の前で勝負をさせる。

8月:葉月(はづき)

(15日)

  • 石清水放生会:最初は宇佐八宮で行われていたが、後に石清水八幡宮の臨時祭となった。仏教でいう殺生の戒律の影響で、神社でも捕えた鳥や魚などを放つ。
  • 観月の宴:仲秋の名月の夜に、月見の宴を催す。宮中では、清涼殿で詩歌・管絃の宴を開く。

(16日)

  • 駒率:諸国から朝廷に献上した馬を、天皇が見る。

9月:長月(ながつき)

(9日)

  • 重陽の節句:五節句の一つで、吉数である陽数の九が重なることを祝う。宮中では、紫宸殿で宴を開き、菊の花を酒に浮かべて飲んだり、菊の花の露を綿にしみこませて(着せ綿という)身体をぬぐい、長寿を祈る。「菊の節句」ともいう。

(13日)

  • 十三夜:十三夜の月を観賞する。八月十五夜に次いで、月見にふさわしいとされた。

(秋不定)

  • 司召の除目:京官の任命を行う。もともと春に行われていたが、後、秋に行われた。「県召の除目」が「春の除目」と呼ばれるのに対し、「秋の除目」ともいう。

古典における”冬”(現在の10月から12月)

10月:神無月(かんなづき)

(1日)

  • 更衣:装束・調度を冬のものに改める。
  • 孟冬旬:冬の初めにあたり、天皇が群臣を召して宴を催す行事。

(5日)

  • 残菊宴:宮中において、この時期でもまだ咲いている菊の花を賞して宴を開く。

(最初の支の日)

  • 玄の子の祝い:亥(猪)の子の形をした餅を食べて、無病息災を祈る行事で、「玄猪」ともいう。

11月:霜月(しもつき)

(中の丑・寅・卯・辰の日)

  • 五節:新嘗祭・大嘗祭の豊明節会に際し、公卿や国司から選ばれた四人(大嘗祭では五人)の舞姫による舞の行事の総称。帳台の試み・御前の試み(ともに五節の舞の試演を天皇が見る)、殿上の淵酔(殿上で宴を張る)、童女御覧(舞姫に付き添う童女を天皇が見る)豊明節会と続く。

(中の卵の日)

  • 新嘗祭:神嘉殿において、その年の新穀を神に供え、天皇が食する。天皇即位後初めての新嘗祭を、大嘗祭(大嘗会)という。

(中の辰の日)

  • 豊明節会:新嘗祭の翌日、豊楽殿で宴を張り、天皇が新穀を食し、群臣に与える。この時、五節の舞が舞姫によって舞われる。

12月:師走(しわす)

(19〜21日)

  • 御仏名:宮中で、僧が三世諸仏の名を唱え、読経して一年間の罪業から身を清める。

(年末の吉日)

  • 荷前:諸国から朝廷に献上した初穂を、天皇の陵墓に供える。この勅使を、荷前の使という。

(30日)

  • 大祓:六月の大祓と同じ行事。朱雀門の前で祝詞が奏され、一年間の汚れを祓う。「年越の蔵」ともいう。 ・追儺:一年間の邪気の象徴である鬼を、桃の弓、魔の矢で追い払う。鬼払いの役は大舎人がつとめる。「おにやらい」ともいう。後に、民間では寺社などの節分の行事となった。

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