EU
EU
欧州連合(ヨーロッパ連合)。
欧州の政治・経済的統合を目指す、国家の共同体。
特徴
世界に数ある国家共同体の中でも、最も政治的・経済的統合が進んでいる。
域内ではヒト・モノ・カネの移動の制限が緩和され、交流が活発になっている。
EU加盟国を中心にシェンゲン協定が締結された国では人の移動が自由になっているほか、一部のEU加盟国では共通通貨のユーロが導入されている。
歴史
第二次大戦以降、西欧の政治的・経済的国家統合を進めようという動きが高まった。これは二度の大戦で欧州が荒廃し、米国に覇権を奪われたことへの対抗でもあった。
できるところから順次統合を進めようということで、先に経済的な統合から行われた。
まずは石炭・鉄鋼から統合が始まり、最初に1952年、ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)が作られた。加盟国はフランス・西ドイツ・イタリア・ベネルクス三国と、西欧の中心的な国々のみだった。
58年にはEEC(欧州経済共同体)、EURATOM(欧州原子力共同体)が設立された。
67年に3共同体が統合され、EC(欧州共同体)と呼ばれるようになった。
1993年、欧州連合条約(マーストリヒト条約)が発効、ECはEUに改組。政治的結びつきがより強固になった。
加盟国の変遷
ECSC、EEC、EURATOMはすべて、仏・西独・伊・ベネルクスの大陸西欧の中心的な国々のみだった。これがEC原加盟国となる。
EC発足後は加盟国が拡大し、73年に英国、アイルランド、デンマーク、81年にギリシャ、86年にスペイン、ポルトガルが加盟。西欧の主要国のほとんどが加盟することになった。
EU発足後は、冷戦終結による緊張緩和に伴い、EUの東方拡大が始まった。
95年にオーストリア・スウェーデン・フィンランド、04年にポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、キプロス、スロバキア、スロベニアの10か国、07年にブルガリア・ルーマニア、13年にクロアチアが加盟した。
2020年に英国が離脱し、初めてのEU脱退となった。英国の脱退はブレグジットとも呼ばれる。
政治機構
EUは、それ自体で政治主体として活動し、国際社会にも参加している政治組織である。
例えば、G7サミットにはフランス、ドイツ、イタリア、英国以外にも、EUとして欧州委員長、欧州大統領(後述)が参加している。
EUは、一般的な三権分立とは少し異なる仕組みを持っている。
よくニュースなどで取り上げられるのは、
- 欧州議会
- 欧州委員会
の二つ。
欧州議会はEU加盟各国の国民による直接選挙によって選ばれる。一般的な国家の議会より権限は弱い。
欧州委員会はEUの政府にあたり、行政を担当する。欧州委員会の委員長を欧州委員長という。日本でも報道で目にすることが多い。
これに加えて各国の政府の長、欧州委員長などによって構成される欧州理事会があり、この議長をEU大統領という。
また、欧州議会の議員は加盟各国で選挙によって選出される。
フォン・デア・ライエン欧州委員長(2024年12月現在)
経済の統合
市場の統合
EU域内の貿易に関税は一切かからない。したがって、日本国内で県をまたいで物を売買するのと同じように、EU域内では国を超えて貿易することができる。これによって、EU域内では貿易が極めて活発になった。
このため、EU加盟国の貿易額に占めるEU域内貿易の割合は非常に高い傾向がある。
通貨の統合
EUの一部の国では、共通通貨のユーロを導入している。
全加盟国がユーロを導入しているわけではないので注意。
また、EU非加盟国でもユーロが用いられている国もある。
加盟国
原加盟国
- フランス
- 西ドイツ
- イタリア
- ベルギー
- オランダ
- ルクセンブルク
73年加盟
- 英国
- アイルランド
- デンマーク
81年加盟
- ギリシャ
86年加盟
- スペイン
- ポルトガル
ーEU発足ー
95年加盟
- オーストリア
- スウェーデン
- フィンランド
04年加盟
- ポーランド
- チェコ
- ハンガリー
- エストニア
- ラトビア
- リトアニア
- マルタ
- キプロス
- スロバキア
- スロベニア
07年加盟
- ブルガリア
- ルーマニア
13年加盟
- クロアチア
20年離脱
- 英国