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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

原始地球のマントル酸化が起こした24億年前の大酸化イベント【論文紹介】

次の動画:原始地球のシリケイト・ダイナモによる磁場生成【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年9月19日

動画の長さ|5:05

24億年前に起きた大酸化イベントによって、大気中の酸素濃度が増大し、現在の生命の繁栄につながりました。しかし光合成の開始から、酸素濃度増大までは数億年もの時間差があり、地球惑星科学における大きな謎となってきました。近年の研究から、マントルの酸化が酸素濃度増大に大きな影響を与えたことが示唆されています。 (目次) 0:00 大酸化イベント 0:36 酸素濃度増大の遅れ 1:06 光合成 1:39 火山からの脱ガス 2:20 マントルの酸化還元状態 3:06 大気とマントルの関係 3:43 マントル酸化の仮説 4:13 地球と生命の共進化 (参考文献) Kadoya, S., Catling, D.C., Nicklas, R.W. et al. Mantle data imply a decline of oxidizable volcanic gases could have triggered the Great Oxidation. Nat Commun 11, 2774 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-16493-1 Sonja Aulbach, Vincenzo Stagno; Evidence for a reducing Archean ambient mantle and its effects on the carbon cycle. Geology ; 44 (9): 751–754. https://doi.org/10.1130/G38070.1 Nicklas, R.W, Puchtel, I.S., Ash, R.D. et al. Secular mantle oxidation across the Archean-Proterozoic boundary: Evidence from V partitioning in komatiites and picrites. Geochimica et Cosmochimica Acta 250, 49-75. https://doi.org/10.1016/j.gca.2019.01.037. Lyons, T., Reinhard, C. & Planavsky, N. The rise of oxygen in Earth’s early ocean and atmosphere. Nature 506, 307–315 (2014). https://doi.org/10.1038/nature13068 (映像素材) Pixabay, SpaceEngine (関連動画) Astrobiology Seminar ONLINE 第8回 田近英一 先生 -Earth, Planets, and Life 惑星環境と生命の共進化    • Astrobiology Seminar ONLINE 第8回  田近英一...   (字幕全文) 地球上のほぼ全ての生命が必要とする大気中の酸素。 地球史の長い期間、大気中の酸素濃度は低い状態のままでしたが、 地質記録から 約24億年前に酸素濃度が増大したことがわかっています。 "大酸化イベント"と呼ばれるこの大事件がなければ、 私たち人間も含めて、この惑星に生命が繁栄することはありませんでした。 一般的には、光合成を行って酸素を発生させる、 シアノバクテリアが出現したことによって、 酸素濃度が増大したと説明されることが多いですが、 実はこの説明は正しくありません。 シアノバクテリアが出現し光合成を開始したのは、 32から30億年前であることが地質記録からわかっています。 それに対して酸素濃度の増大が確認されているのは24から21億年前です。 つまり光合成生物が出現した後も、 地球上は酸素濃度が低い状態が少なくとも数億年間も続いていたのです。 光合成生物の誕生にも関わらず、 なぜ酸素濃度の増大がこれほど遅れたのか、 長年地球惑星科学の大きな謎となってきました。 単純に光合成生物による酸素発生量が増大したから、 という理由だけでは説明できません。 生物が光合成で酸素を発生させたとしても、 呼吸による酸素の消費や、 死んだ生物の死骸が分解されることによって、 酸素が再び二酸化炭素に戻ってしまうので、 実は正味の酸素発生量としてはほぼゼロなのです。 現在の地球環境ではこういった逆反応は約50年という、 非常に短いサイクルで起こるため、 酸素濃度の長期的な変動を引き起こすには、何か別の原因が必要です。 その鍵を握るのが、地球内部から放出される火山ガスです。 火山ガスには還元的な成分と、酸化的な成分が含まれており、 例えば水素を例にとると、 還元的成分がH2、酸化的な成分がH2Oとなります。 同様に炭素を例にとると、 還元的な成分がCO、酸化的な成分がCO2となります。 火山ガスの成分に還元的な成分が多い場合、 光合成で発生した酸素が、 還元的な火山ガスと結合して消費されてしまうため、 酸素濃度は上昇しません。 一方、火山ガスの成分に酸化的な成分が多ければ、 こういった反応はおこらないので、 酸素を蓄積することができます。 火山ガスの還元的成分と酸化的成分を決めているのは、 マントル内部での酸化還元状態です。 これまでの研究では大酸化イベント以前の時代でも、 マントルは酸化的であると推定されていました。 そのため、火山から酸化的なガスが出ているにも関わらず、 なぜ酸素濃度がすぐに上昇しなかったのか、原因が不明でした。 しかし酸化還元状態の推定には大きな不定性が含まれており、 正確ではないとの反論もありました。 2016年と2019年に地質学と地球化学の専門誌で発表された論文によって、 マントルの酸化還元状態に関する、より精度の高い推定が行われました。 その結果、大酸化イベント以前の時代にはマントルは還元的であり、 火山から放出されるガスも還元的であった可能性が高いことが、 示されたのです。 この結果を受けて、今年の6月2日にネイチャー姉妹紙で発表された論文で、 原始地球の物質循環を定量化したモデルを使って、 マントルの酸化還元状態が酸素濃度にどのような影響を与えるのか、 理論的な検討が行われました。 その結果、もともと還元的だったマントルが徐々に酸化していくにつれて、 火山ガス中の還元的成分の割合も徐々に減少し、 酸素濃度が遅れて増大したことが示されたのです。 しかし、ここで一つ疑問が残ります。 大気中の酸素濃度をコントロールしたのが、 マントルの酸化還元状態だとしたら、 最終的に何がマントルを酸化させたのでしょうか。 これについてはまだ議論が続いていますが、 論文中では二つの仮説を示しています。 一つ目は、もともと原始のマントルは還元的な状態のまま、 あまり混合されていなかったのが、 対流によって内部が混ざり、酸化的になったという説。 もう一つは、大気中から水素が継続的に宇宙空間に散逸していくことで、 地球内部も含めて徐々に酸化していったという説です。 こういった仮説は従来から提唱されてはいましたが、 今回の論文であらためて注目を浴びることになりそうです。 一つ注意してほしいのは、 マントルが酸素濃度をコントロールするというのなら、 生命は必要ないのか、と思われる方もいるかもしれませんが、 そうではありません。 火山から供給される酸化的なガスはあくまでもH2OやCO2が主成分であり、 そこから酸素を作るには、光合成生物の存在が必要不可欠です。 このように地球の環境は長い時間をかけて、 惑星と生命がお互いに影響しあいながら共に進化してきました。 このような特徴こそが、生命あふれる私たちの地球の本質なのです。 それでは今回もご視聴頂き ありがとうございました。 原始地球大気の進化については、日本における第一人者である、 東京大学の田近英一先生による解説が、 アストロバイオロジークラブから公開されていますので、 より詳しく知りたい方はそちらをご視聴ください。 それではまた。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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