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自然浄化(自浄作用) 高校生物基礎


矢口はっぴー

17分20秒

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説明

【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
自然浄化(自浄作用)、BOD・COD、富栄養化について講義します。
*動画中「生物に実際に有機物を分解させて指標を得た方が自然界の条件に近い。だからBODには意味がある。」と言っていますが、これは「BODの方がCODよりも常に精度が高い指標である」という意味ではありません。生物にとって分解しにくい汚濁物質があったり(酸素が消費されず、汚濁物質を検出できない)、生物にとって毒性のある物質が汚濁物質に含まれたりしている(生物が死んでしまうので調査できない)場合、BODは指標として適さないことがあります(しかし、BODの測定には自然現象が利用されているので、BODの評価が自然浄化能力の推定・可能性の考察に有効であることは言うまでもない)。

●自然浄化(自浄作用):河川や湖沼(こしょう)に流入した汚濁物質が、生態系のさまざまな作用により濃度を減少させる現象。
*ただし、自然浄化で処理できる有機物の量には限界がある。
●正確には、動画中の図のようにCODを直接求めることはできない。実際は、KMnO4などの強力な酸化剤を用いて有機物を酸化し、使われた酸化剤の量をもとに、有機物を分解するために必要な酸素の量を計算して求める。(酸化剤とは、相手から電子を奪う物質である)
たとえば、サンプル中の被酸化性物質の放出したeーの物質量x[mol]を、KMnO4などを用いた滴定によって求める。その後、
O2+2H2O+4eー→4OHー
の反応を考え、酸素がx/4[mol]消費されたとして、消費された酸素量を換算によって推定する。
●CODの測定では、BODと違い、酸化されやすい無機物(Fe2+、S2-など)も酸化される。なので、ふつう、CODはBODより大きな値になることが多い。
●海や湖では、植物プランクトンが、汚濁物を分解せずに、呼吸を行い、酸素を消費する。したがって海や湖では、汚濁物質の分解以外でも酸素が消費されるので、BODは使えないことが多い。また、生物にとって有害な金属イオンを含んでいる場合も、BODは使用できない。
●自然浄化について、本講義では入試問題を解くための1つのモデルを示している。水質の変化は実際はもっと複雑で、原因は様々である。
●無機塩類の定義は厳密には決まっていない。一般に「無機栄養成分であり、生体内では合成できないもの」を無機塩類とすることが多い。
●動画のグラフは、おおよその外形と変化を示すのみであり、絶対量は示していない。なので、「被食者は捕食者より多くなっている」かどうかは厳密にはグラフからはわからないが、ほぼすべての入試問題では、ヒントとして、捕食者のグラフの方が被食者のグラフより少なく描かれている。
●グラフがなめらかでなくて申し訳ありません。本動画のグラフは入試問題を解くポイントを解説するために簡単に描いたものです。必ず教科書や資料集を見てください。
●BODやCODだけでなく、指標生物を使って、水質汚染の度合いを推定できる。
きれいな水に住む指標生物:サワガニ、カワゲラ、ウズムシ
汚い水に住む指標生物:ユスリカ、アメリカザリガニ、イトミミズ
●「三尺流れれば水清し」「水に流す」などのことわざは、日本の河川の清らかさと、高い自然浄化能力を表していると考えることもできよう。
●動画の自然浄化では主に「有機物」の流入に注目して解説したが、富栄養化では、主にNやPが赤潮、アオコの原因になる。
●アオコと水の華を区別することもあるが、高校生は同義としてよい。
●硝化作用=硝化
●硝化菌=硝化細菌。
●亜硝酸菌、硝酸菌は、大学では、それぞれ、「アンモニア酸化菌」、「亜硝酸酸化菌」と表現することが多い(こちらの方がわかりやすいネーミングである)。亜硝酸菌と硝酸菌は海洋、土壌に広く分布し、自然界の窒素循環に重要な役割を担っている。また、人類は、排水処理に利用している。
●アンモニアは、タンパク質の分解で生じる。
●字幕を作成してありますので色が見にくい場合はご活用ください。
●生物基礎では亜硝酸菌と硝酸菌をまとまりとして示すことが多いので、動画中「アンモニウムイオンがほしいのは亜硝酸菌と硝酸菌」と口走ってますが、もちろん、厳密には、アンモニウムイオンを取り込む亜硝酸菌と亜硝酸イオンを取り込む硝酸菌は別の生物群です。念のため。(ただし、アンモニウムイオンから一連の硝化が始まるのは間違いありません。)
●「富栄養化」は、もともとは水域が貧栄養湖(栄養塩類が乏しく生物の生産性[生産者の行う有機物の生産量が目安となる]が小さい湖)から富栄養湖(栄養塩類が豊富で生物の生産性が大きい湖。長い時間が経つと浅くなり、陸化する)へと変化する現象を指す用語だったが、最近は、人間活動による汚濁を指すことがほとんどである(覚えなくてよいが、このような人間の生活に関わる様々な側面に由来する富栄養化を、特に人為的富栄養化という。対して、動植物遺体の流入や岩石の風化、土壌からの溶脱など、自然条件による富栄養化を自然的富栄養化という)。
●自然浄化は、主に有機物に注目することが多い。一方、富栄養化では主に栄養塩類(特にNとP)に注目する。後者は無機物に注目しているので注意。NやPを含む無機物を、藻類などが吸収しつくせないくらい排出すると、富栄養化が引き起こされる。
(ただし、高校教科書の一部は、自然浄化について、有機物の流入と無機物の流入の両方を扱っていて、富栄養化を、自然浄化の限度を超えた生活排水の流入をその原因として説明している。参考書などにあるように、必ずしも自然浄化は有機物の流入について「だけ」を扱うものではない。また、有機物の分解によっても、栄養塩類は生じる。つまり、有機物の流入によっても、富栄養化は進むのである。したがって、「自然浄化は有機物が流入する時の話、富栄養化は無機物が流入する時の話」、と説明する参考書があるが、正確ではない。)

0:00 自然浄化
11:45 BOD・COD
15:18 富栄養化

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