【 note : https://note.com/yaguchihappy/n/n4c649821e73c 】
生物基礎難問対策として、圧ー容量曲線について講義します。
*音声が小さくてすみません。字幕ボタン[CC]を押すと字幕がでます。
*noteでさらに詳しく解説しています。
◯ 詳しい流れ
① :D点において、左房室弁(心房と心室の間にある弁。僧帽弁[そうぼうべん]ともいう)が開き、左心室に血液が流入する(D→A)。このとき大動脈弁(半月弁[はんげつべん]ともいう。左心室と大動脈の間にある弁)は閉じている。血液が流入するので、左心室の容積は増加する。血液が流入している間、左心室の内圧はほぼ変化しない。
*知らなくてよいが、①の時期の後半に、左心房が収縮し、左心室に血液を押し込む。これを心房のブースター効果と呼ぶ。
②: (やがて左心室の脱分極が左心室の収縮を引き起こす。左心室の収縮が始まると、左心室内圧が上昇し、房室弁に向かって血液が押し上げられ[弁は逆向きには開かない]、)左房室弁が閉じる。大動脈弁も閉じている。ここで、左心室に筋肉の収縮による圧力が加わる(A→B)。入り口と出口にあたる2つの弁は閉じていいて、左心室の容積はほぼ変わらない(液体は圧力の変化によってほぼ体積変化しない。注射器の針を閉じている限り、ピストンを押してもシリンダー内の液体の体積を変えることはできない。ピストンを押すとシリンダー内の液体分子の暴れ具合、つまり圧力は増加する。逆に、ピストンを引くと、圧力は低下する。どちらの場合も、液体の出入り口が閉じていればシリンダー内の液体の体積はほぼ変わらない)。
③: 左心室内部の血液の圧力が大動脈内部の圧力(血圧)に打ち勝つと、大動脈弁が開く。左心室の血液は大動脈に流れ出ていく(B→C)。左心室の容積は減少する。高い内圧を持っている左心室は、内部の血液を押し出し続ける(左心室の内圧と大動脈内の圧力は同じような変化をたどるが、左心室の内圧の方が大動脈内の圧力を上回りながら変化する)。
④ :(左心室の内圧と大動脈内の圧力がつりあい、)大動脈弁が閉じる。左房室弁も閉じている(その後は大動脈内圧の方が左心室内圧より大きくなる)。
筋肉が弛緩し、左心室の内圧は下がるが、2つの弁が閉じているので体積は変化しない(C→D)。
*上の説明は厳密ではない。実際は、③の途中で、大動脈圧は左心室内圧を上回る。しかし、慣性により、大動脈への血液の流れは続く。やがて血流速度が0になると、大動脈弁が閉じる。高校生は気にしなくてよい。入試では「左心室内圧と大動脈圧(血圧)がつりあった時、大動脈弁は閉じる」として解く問題が多い。
再び①: 左心室の内圧は低くなり続け、左心房の血液の圧力に押し負けると、左房室弁が開き、血液が心室に流入する(D→A)。
左心室の容積は増加する。左心室の圧力は変わらない。
*高血圧になると、グラフが上に伸びる。一回拍出量が増加すると、グラフが横に伸びる。運動時は、血圧も上昇し、一回拍出量も増加する。左心室の圧ー容量曲線において、グラフ内の面積の大きさは、心臓におけるエネルギー消費量の大きさ(および仕事量)に結びついている。よって、運動時は、(グラフ内の面積が増大し)心臓におけるエネルギーの消費量が大きくなる。
問題:左心室の内圧が大動脈の血圧を上回ると、大動脈弁が(①開く・②閉じる)。
正しい番号を選べ。
答え:①開く(圧力は分子のあばれ具合のこと。あばれ具合が大きい方から低い方へ液体も気体も移動する)
問題(発展):バソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌が低下し、尿量が増加し、体液が減り、血圧が低下すると、図の点Cはどのように移動するか。選べ。
①上に移動する ②下に移動する
答え:②
(C点は、心筋の収縮が終了し、左心室内圧と血圧がつり合って、大動脈弁が閉じる点である。血圧が低下すると、このつりあいの点も低下する。)
※動画の図形は多少不正確です。大学入試向けに簡単にしてあります。正確な図は図書館等にある生理学の教科書を参考にしてください。
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