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なぜはやぶさ2の観測から小惑星リュウグウが太陽に近づいたと言えるのか?【論文紹介】

次の動画:かぐやが発見した炭素放出は月の起源を覆すか?【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年6月13日

動画の長さ|4:51

世界で初めてC型小惑星へのタッチダウンに成功した、はやぶさ2に搭載されたカメラの観測成果がScience誌に掲載されました。C型小惑星のリュウグウがかつては太陽に接近するような軌道を持っていた可能性を報告していますが、なぜカメラの画像だけでそんなことが言えるのか、論文を詳しく見ていきましょう。 (目次) 0:00 C型小惑星へのタッチダウン 0:20 「リュウグウは太陽に接近していたかもしれない」 1:00 クレーターの層序 1:40 タッチダウン前後の表層の変化 2:29 リュウグウ表層の物質進化 2:50 表面を赤化する現象 3:17 スペクトルの明瞭な二分性 4:15 まとめ (参考文献) Morota et al. (2020) Sample collection from asteroid (162173) Ryugu by Hayabusa2: Implications for surface evolution. Science Vol. 368, Issue 6491, pp. 654-659. https://science.sciencemag.org/content/368/6491/654 JAXA プレスリリース.小惑星探査機「はやぶさ2」観測成果論文のScience誌掲載について https://www.jaxa.jp/press/2020/05/20200508-1_j.html 【画像素材】 NASA, Goddard Space Flight Center, 宇宙航空研究開発機構/宇宙科学研究所(JAXA/ISAS) 【字幕全文】 地球に向けて帰還中の日本の小惑星探査機 はやぶさ2。 2019年2月21日に、世界で初めてC型小惑星へのタッチダウンに成功し、 サンプルを回収したと見られています。 この時のタッチダウン運用で得られたカメラの観測成果が 2020年5月7日のScience誌に掲載されました。 この論文のポイントは 「C型小惑星のリュウグウが昔はもっと太陽に接近していたかもしれない」 という可能性を示唆したことです。 C型小惑星は、 炭素や有機物を豊富に含むと考えられる始原的な小惑星で、 太陽から遠く離れたメインベルトの外側に多いことが知られています。 そんなC型小惑星の一つが、実は昔太陽に接近していたという この論文の主張が本当ならば、惑星科学の常識を覆すような 一大事になるわけです。 しかしちょっと待ってください。 まだサンプルすら回収できていないのに、 カメラの画像だけでなぜそのようなことが言えるのでしょうか。 こういう個人的な疑問もあったので、 皆さんと一緒に論文を詳しく見ていきたいと思います。 まずは低高度で観測された リュウグウ表面の画像を見ていきましょう。 いくつかのクレーターがありますが、 特に黄色い矢印で示されたクレーターに注目してください。 同じ場所を今度はマルチバンドカメラで見てみましょう。 この画像では可視と近赤外の 二つの波長で撮った反射率の比をとっています。 スペクトル的に赤いクレーターと、 青いクレーターが存在することがわかります。 先ほどの黄色い矢印で示されたクレーターは 全て青いクレーターを示しています。 青いクレーターと赤いクレーターの重なり方に注目しましょう。 どちらが上で、どちらが下にあるでしょうか。 青いクレーターが、赤いクレーターの上に重なっていることがわかります。 このことから、赤いクレーターが最初にできて、 青いクレーターは後にできたことがわかります。 次にタッチダウン地点周辺の より狭い領域での画像を見てみましょう。 はやぶさ2はタッチダウンした後に表面から離脱するため、 スラスターを噴きましたが、その時ガスに吹き飛ばされた 大量の微粒子が舞い上がり、タッチダウン地点の周辺に堆積しました。 この時堆積した微粒子が黒く見えているのがわかるかと思います。 タッチダウンの前後でスペクトルを見比べると、 最初は青かったのが、後になると赤くなっています。 つまり、もともと内部の物質は青かったのですが、 周りにあった赤い物質が堆積することで、 表面が赤くなってしまったということです。 このことから、もともとのリュウグウ内部にある物質は青かったのが、 表面に露出して時間が経過するうちに、 赤い物質に変成していったと考えられます。 このことを最初に見た、赤いクレーターは古く、 青いクレーターは新しい、という観測事実と照らし合わせてみましょう。 これらの特徴から以下の解釈が成り立ちます。 リュウグウの表面ではある時期に表面を赤くするような 何らかのイベントが起きて、古いクレーターが赤くなってしまったこと、 そして、このイベントの後にできたクレーターは、 衝突によって地下にある青い物質を表面に露出させたので、 新しいクレーターは青い、という解釈が成り立ちます。 では今まで散々出てきた、赤いとか青いってどういうことでしょうか。 月や小惑星の表面では、太陽の日射や、宇宙線、 微小隕石や宇宙塵が常に降り注いでいます。 こういった現象によって、月や小惑星の表面は スペクトル的に赤くなっていくことが知られています。 こういった現象を総称して宇宙風化と呼びます。 リュウグウ表面でも宇宙風化によって 表層の物質が変成したと推測されます。 では具体的にリュウグウの表面を赤くしたイベントは 太陽の日射、宇宙線、微小隕石のどれなのでしょうか。 今回の観測から、赤いクレーターと青いクレーターが 明瞭に2種類に分かれることがわかりました。 つまり赤と青の中間の色をとるようなクレーターが ほとんど存在しないのです。 このことは、リュウグウ表面を赤くしたイベントが、 地質学的に短い時間に起こったことを示しています。 先ほど考えた3つの可能性のうち、 宇宙線や微小隕石のフラックスが突然上昇するというのは 考えにくいです。 もしそうなら、月や地球にも顕著な影響が出るはずですが、 今のところそのような痕跡は確認されていません。 では太陽の日射はどうでしょうか。 もし過去にリュウグウが太陽の近くを通るような軌道を持っていたら、 太陽放射が短期間に急上昇することができます。 これによって今回の論文の主張 「リュウグウが昔は太陽に接近していたかもしれない」 が導かれました。 また青いクレーター年代の推定から、 リュウグウ表面を赤くした現象、 つまりリュウグウが太陽に接近するイベントが起きたのは、 30万年前から800万年前の間だと推定されました。 いかがでしょうか。 この論文の主張が本当に正しいかどうかは、 最終的にはサンプル分析の結果でわかるでしょう。 実は論文を読んで、いくつか弱点があることもわかったので、 興味ある人はコメント欄をご参照ください。 はやぶさ2は今年の年末に地球に帰還する予定です。 今から楽しみに待ちましょう。 それでは今回もご視聴ありがとうございました。 面白かったという方は、ぜひチャンネル登録して頂けると嬉しいです。 皆さんのご支援が、次回の動画を作成する時の、大きな励みとなります。 内容についてご意見がある方は、コメント頂けると幸いです。 よろしくお願いします。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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