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【豆知識】世界の大学入学制度 


その他
2023年1月12日

日本の国立大学の場合、大学入学共通テストと各大学で行われるテストの結果で合否が決まりよね。テストだけで合否結果が決まるため、一発勝負型のテストなんて呼ばれたりします。

日本の高校生にとっては一発勝負型のテストは当たり前だと思いますが、世界的に見ると、一発勝負型のテストで合否が決まる大学入試は珍しかったりします。

そこで今回は、米国、英国、ドイツの大学入学制度を紹介していこうと思います。豆知識程度にサクッと読んで見てください!

内容

  • 各国の大学入学制度の特徴
  • 米国の大学入学制度
  • 英国の大学入学制度
  • ドイツの大学入学制度


各国の大学入学の特徴

日本、米国、英国、ドイツの大学受験制度の特徴をまとめてみました。
アメリカ 大学受験、ドイツ 大学受験、イギリス 大学受験
4カ国の中で、テストのみで合否が決まる制度があるのは日本と英国でした。ただ、英国は日本の一発勝負型のテストとは異なるので「?」としてあります。

それぞれの受験制度の特徴をサクッと紹介していきます。

米国の大学入学制度

米国の大学受験では、主に4つの指標が重要視されています。

  • 学校の成績
  • エッセイ
  • 課外活動
  • SAT/ACT


上の4つについて詳しく解説した記事を過去に書いたので、こちらから是非確認してみてください!

ただ、このままでは上の4つのどの指標がどれくらい重要なのかがわかりません。そこで今回は、 全米大学入学カウンセリング協会(National Association for College Admission Counseling)が発表した、「大学はどの指標を最も重要視しているのか」のデータを紹介していきます。

*各行のTOP5指標を赤くしています。

「2019 STATE OF COLLEGE ADMISSION」 より筆者作成


この表からも、高校での成績が大学受験においてかなり重要だということがわかります。この点は、一発勝負型の日本とは大きく異なります。

高校の成績は高1から高4までの累積の成績になるため、超難関大学を志望する場合は、高1の頃からいい成績を維持することが必要になります。

実際に、ハーバード大学に進学した同級生は異次元に高いGPAを持っていました。

「カリキュラムの強み」の項目については、私の予測になるのですが、高校生がどのような授業を履修していたかを評価している項目だと考えられます。

米国では履修する授業を全て自分で決めます。簡単な授業ばかりを履修すれば成績がよくなるかもしれませんし、難しい授業を履修すると良い成績を取るのは難しくなりますよね。履修した授業を考慮せずにGPAだけで評価してしまうのは公平とは言えません。そのため、どういった授業を高校で履修していたのかが評価されているのだと思います。

米国には一発勝負型の大学入試はありませんが、超難関大学に入学するためには、高一の時から気合を入れて学校の勉強に取り組まないといけません。それはそれでかなり大変そうですね。

英国の大学入学制度

英国で大学進学するためには、IBDP(国際バカロレアディプロマ)やA-LEVELという資格を取得しなければいけないのですが、今回はA-LEVELについて紹介していきます。
(IBDPについてはこちらの記事で紹介しています。)

まず、詳細に入る前に以下の図でイギリスの大学受験の流れを示します。
イギリス 大学受験、GCSE、A-Level、
イギリスの義務教育は中学を卒業する16歳までです。その義務教育を終える際に、GCSE(General Certificate of Secondary Education)という試験を受けます。この試験は、国語、数学、化学といった基本的な科目に加え、自分で科目を選択し計8~10科目を受験します。この試験結果は、大学入試の際の評価の一つとしても使用されます。

中学を卒業し、大学進学を希望する学生は、シックスフォームと呼ばれる高校へ進学します。高校に進学すると、高校1年時には、AS(Advanced Subsidary)-Level、高校2年時にはA-Levelという試験を受験し、この二つの試験の結果が大学受験で重要になってきます。

A-Level試験

AS-Level試験では55科目の中から自分で4~5科目を選択し受験します。その結果が出た時点で、自分の興味のある大学の興味のある学部に結果を提出します。最大5大学まで提出することができます。大学側は、その結果に対し、翌年受験するA-Level試験の結果に左右されず入学を許可する「無条件入学許可」、または、A-Level試験の結果次第で入学を許可する「条件付き入学許可」、または「不合格」を志望者に通志します。


A-Level試験では、AS-Level試験で受験した科目の中から、2~3科目を選択して受験します。そして、その結果を大学に提出し、大学側の基準を満たせば、はれて大学合格となります。また、このA-Levelの試験の結果次第で志望大学を変更することもできるそうでうす。

GCSE、AS-Level、A-Level試験の結果に加えて、志望動機書推薦状も必要らしいです。さらに、一部の大学では、面接等もあるそうです。A-Level試験は少し一発勝負型の日本に似ているかと思ったのですが、志望動機書や推薦状といった要素もあるため冒頭の表では「?」としました。

イギリスの16~18歳の学生は、毎年重要なテストがあり大変そうだと感じました。また、提出する志望動機書は一つだけなので、日本のように複数の学部を併願して受験することは難しいようです。

ドイツの大学入学制度

ドイツには日本とは大きく異なる教育制度があります。
ドイツ 大学受験
上の図からもわかるように、ドイツの子供は基礎学校(小学校)を卒業する10歳の時点で大きな選択をしなければいけません。進路は主に3つあります。

  1. ギムナジウム
  2. レアルシューレ
  3. ハウプトシューレ

以下では、それぞれのコースを簡単に紹介していきます。

ギムナジウム

ギムナジウムは大学に進学したい人が進学するコースになっています。このコースでは、大学進学に必要な資格「アビトゥーア」という資格を受験することができます。アビトゥーアについては以下で説明します。

レアルシューレ

レアルシューレでは、実務経験や高等教育を受けることができます。レアルシューレを卒業した方は、専門大学や上級専門学校と呼ばれる学校に進学する方や就職する方が多いそうです。ただ、レアルシューレを卒業すると、ギムナジウムへの編入試験を受ける資格をもらえるため、中にはそれを利用して、ギムナジウムへ編入する方もいるそうです。

ハウプトシューレ

ハウプトシューレには、将来職人系の仕事に就きたい人が進学するそうです。また、グローバル化に伴い増加した移民の方の多くもハウプトシューレに進学するそうです。ドイツは、「ものづくりの国」と言われますが、それを支えているのは、ハウプトシューレに進学した方々なのかもしれませんね。

裕福な家庭の子はギムナジウムに進学し、貧困家庭の子はハウプトシューレに進学する状態もあったそうで、貧困の連鎖が起こりやすい制度だという批判もあるそうです。こういった批判もあり、上の3つを一つにまとめたゲザムトシューレといった総合学校もできています。

ドイツでの大学進学事情

上で紹介したように、ドイツではアビトゥーアを取得すれば、基本的にはドイツのほぼ全ての大学・学部に入学することができます。アビトゥーアの大学入学資格は終身有効であるため、取得した年に大学に入学しなければいけないという決まりもありません。
基本的にはどの大学でも入学することができるのですが、学科によっては入学制限があるため、その際にはアビトゥーアの試験成績やその他の試験で選抜が行われるそうです。

また,ドイツで生まれ育った教授に聞いたところ、ギムナジウムではない学校に進学した学生が、大学に進学するケースは実際にあるそうです。実際に、教授の兄弟二人は基礎学校卒業時にはギムナジウムに進学しなかったものの、最終的には大学に進学し、卒業したそうです。

ドイツの教育制度は多くの人を大学入学から排除しているように見えますが、実際には多くの人に大学入学のチャンスがあります。

アビトゥーア試験

アビトゥーア試験は900点満点で、600点分はギムナジウム在籍時の点数、300点分はギムナジウム卒業時に受験する試験で決まります。大学入学に学校の成績が反映されるあたりは、アメリカに似ていますね。

アビトゥーア試験は、5科目から成り、4科目は筆記試験、1科目は口頭試験になります。日本でよく行われるマークシート試験ではありません。

さらに、筆記試験では、科目によって、1科目で5時間かかる科目もあるそうで、かなり過酷な試験になっているそうです。ここの大学で入試がないとはいえ、大学に入学するには過酷なアビトゥーア試験に合格しなければいけないことがわかりました、、、

3カ国の大学入学制度を紹介してきましたが、いかがでしたか?

「あの国は大学入試がない」と聞くと羨ましくなりますが、他の国には特有の大学入学への困難があることがわかりました。皆さんは、他の国の大学入学制度と比較して、日本の大学入学制度をどう思いますか?

批判されがちな日本の入試制度ですが、海外の大学入学事情を知るとまた見方が変わるかもですね。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

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しりょかわ

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