概要
2つの正の実数 に対し、 を相加平均といい、 を相乗平均という。(相加平均はいわゆる普通の平均値)
そして、 のとき、相加平均と相乗平均の間に次の不等式が成り立つ。
これを 「相加平均と相乗平均の関係」 や 「相加相乗平均の不等式」 などと呼ぶ。(カッコよく英語の頭文字で「AM-GM不等式」と書いてあることも。画数が減るのでラク)
また、等号は のときのみ成立。
両辺に を掛けた、次の式の形を使うケースも多い
この不等式は、いろんな分野の別解でも登場するオールラウンドプレイヤーで、受験でも超頻出の不等式。下の補足も合わせて確認しよう。
特に文系範囲では微分できる関数が限られているので、この相加相乗平均の関係で最大値や最小値を求めることがよくある。
例
【問1】 のとき、 の最小値を求めよ。
【答1】 より、相加相乗平均を用いて、
が成り立つ( 以上ということはわかったので、あとはほんとに という値を取る が存在することを示せばOK)。ここで、等号成立条件は、
(最後は を用いた)となり、確かに等号は成り立つ。よって、 の最小値は とわかる。
証明
のとき、
ここで、
であるから、
が成立。等号が成り立つのは、
すなわち のとき。
補足
- 必ず 以上という条件を確認してから、この関係式を使うこと。
- 証明に関しては、こちらの、ヨビノリさんの相加相乗平均を図形的に証明する動画も是非!他にもいろんな動画があるので、こちらのokedouで検索してみよう。
- 最大値・最小値を求めるためにこの関係式を使うときは、上の例のように、 等号が成り立つかを慎重に検討する必要がある。例えば、等号成立の大事さについては、このガチノビさんの動画で深く学ぼう。
- n変数バージョンは古賀真輝さんの証明動画を参照。
- たまに3変数バージョンが便利な場面がある。つまり、 のとき、次の関係が成り立つ。
これを用いると、下のような問題で微分をせずに最小値を求めることができる。
【問2】 のとき、 の最小値を求めよ。
【答2】 より、相加相乗平均を用いて、
が成り立つ。ここで、等号成立条件は、
つまり、
となり、 の範囲で確かに等号は成り立つ。よって、最小値は となる。
※ これを、単純に2変数の相加相乗平均で
より最小値 、としてしまうとダメな理由は、上でも紹介したガチノビさんの動画で紹介されているので、引っかかった方は動画でじっくり学ぼう。