イスラム教
イスラム教
イスラム教は、アラビア半島で生まれた一神教で、アッラーを唯一の神として信仰しています。
イスラム教は三大宗教の中では最も社会に大きな影響を与えていると言ってもよく、地理学習者としてはかなり重要度が高いといっていいでしょう。
ムスリムのくらし
イスラム教には特徴的な戒律がいろいろとあり、ムスリムはそれを比較的よく守って暮らしていると言えるでしょう。
代表的な戒律に、
- 豚肉を食べない
- 酒を飲まない
- 一日五回の礼拝
- ラマダン月には断食
- 一生に一度はメッカへの巡礼
などがあります。
人々の日常生活への影響も大きく、統計にも表れやすい部分が数多くあります。
分布
イスラム教が主に分布しているのは、北アフリカ、西アジア、中央アジア、南アジアの一部、東南アジアの一部、東アフリカです。
これも歴史的経緯がわかると理解しやすいので、順を追って解説していきましょう。
歴史
イスラム教は、現在のサウジアラビアに位置するメッカで生まれました。
ムハンマドの生前からイスラーム帝国はジハード(聖戦)によって急速に領土を広げ、イスラム教創始100年で西はイベリア半島から東はアフガニスタンまで征服してしまいました。
その後も征服や交易によってイスラム教は拡大していきます。
インドには奴隷王朝以降イスラム政権が続き、イスラム教・文化が普及しました。
インドネシアやマレーシアなどの東南アジア島嶼部は、ムスリム商人が盛んに香辛料貿易を行っていたことからイスラム教が広がりました。
東アフリカもムスリム商人が盛んに活動した地域で、その影響で一定数のイスラム教信者が存在するほか、スワヒリ語などのイスラム文化の影響もみられます。
信者の多い国
国別で信者数が多い順にみていくと、
- インドネシア
- パキスタン
- インド
- バングラデシュ
- エジプト
- ナイジェリア
となり、西アジア諸国は上位に入らないことがわかります。
これは、西アジア諸国は人口が少ないことが要因です。
統計への影響
イスラム教の戒律は人々の日常生活に強い影響を与えていることから、統計にもイスラム教の影響が現れます。
食習慣
- お酒を飲まない→酒の消費量が少なく、茶・煙草・砂糖の消費量が多い
- 豚肉を食べない→豚の飼育頭数が少ない
といった影響がみてとれます。
ムスリムはお酒を飲まないため、お酒に代わる嗜好品が発達しています。西アジアで茶の消費量が非常に多いのもこの影響ですし、最近日本でもチルいと評判のシーシャ(水タバコ) が生まれたのも西アジアでした。また、入試で問われることはあまりありませんが、西アジアの豊かな国を中心に砂糖の消費量も近年多くなっているそうです。
観光客数
ムスリムの義務に巡礼があり、一生に一度聖地メッカに巡礼しなければならないとされています。
このため、イスラム暦12月にはムスリムが聖地メッカ・メディナに世界中から集結します。メッカで特に有名なカーバ神殿などは凄まじく混雑し、画像のような状態に。
聖地を擁するサウジアラビアは、近年では毎年200万人を超えるムスリムが巡礼に訪れるそうです。
このため、サウジアラビアは西アジアの中では入国者数がとても多いことは覚えておくといいでしょう。