概要
「ヨウ素還元滴定(ヨードメトリー)」とは、ヨウ素を還元剤として使い、未知の量の酸化剤を測定する方法のこと。ヨウ素デンプン反応を利用して反応の終点を見極めます。
滴定の手順は以下の通り。
- 濃いめ多めの水溶液に量を知りたい酸化剤を加える
- 1で生じたをで滴定する
- 以下の関係から酸化剤の量がわかる

反応の終点を見極めるのにヨウ素デンプン反応を使うため、工夫して考えられた滴定方法です。
詳細
ヨウ素滴定とは
ヨウ素は中くらいの電気陰性度を持ち、強めな還元剤に対してはが酸化剤として・強めな酸化剤に対してはが還元剤として働きます。さらにはヨウ素デンプン反応によっての検出が簡単という性質もあります。これらを利用して酸化還元滴定をするのがヨウ素滴定です。
ヨウ素を酸化剤として使い還元剤を滴定する方法を「ヨウ素酸化滴定(ヨージメトリー)」、ヨウ素を還元剤として使い酸化剤を滴定する方法を「ヨウ素還元滴定(ヨードメトリー)」といいます。
ここでは後者の説明です。
ヨウ素還元滴定の手順
- 濃いめ多めの水溶液に量を知りたい酸化剤を加える
- 1で生じたをで滴定する
- 以下の関係から酸化剤の量がわかる
それぞれ詳細に見ていきます。
(1)水溶液に酸化剤を加える
少し濃いめ多めに用意した水溶液に、量を知りたい酸化剤を全て反応させます。は酸化剤に対しては以下の反応で還元剤として働きます。

(2)生じたを滴定する
生じたを水溶液で滴定します。まず終点を見極める指示役として(1)にでんぷんを加え、溶液を青紫色にします。これに水溶液を滴下し、溶液が透明になったところを終点とします。

(3)酸化剤の量を計算する
以上を踏まえて酸化剤の量を計算します。酸化剤を一旦に変換し、そいつを間接的に滴定したことになります。

上の図から、(最初のが出した電子数)=(酸化剤が奪った電子数)=(が奪える電子数) なので、を滴定すれば間接的に酸化剤の量が計算できます。
例

の濃度をとします。酸化剤は、
のように、1粒に対して電子2粒を奪うので、

次に、が奪った分だけは電子を奪われてとなります。そしてそんなが今度はから電子を奪います。つまり最初と最後をつなげれば、が奪った電子の個数分だけは電子を奪われるということです。
還元剤は、
のように、2粒に対して電子2粒、つまり1粒に対して電子1粒を奪うので、

以上より、
補足
- (*注1)こんな面倒なことせず、酸化剤を直接水溶液で滴定すればいいんじゃね?と思うかもしれませんが、それでは反応の終点がわかりません。間にヨウ素を挟むことで、ヨウ素デンプン反応を利用することができます。