半導体産業(補足の話)
半導体とは?
一般的に「半導体」と言う場合、多くは「集積回路(IC)」を指します。
半導体にはさまざまなものがあり、
- パソコンのCPU
- スマホのチップ
- SuicaなどのICカード
- パソコンのメモリ、ストレージ(RAM、SSDなど)
などが有名です。
重要性
半導体はあらゆる電化製品に使用されています。
身の回りを見渡してみましょう。まずスマホ、パソコン。イヤホンやヘッドホン。
家の中を歩いてみれば、冷蔵庫。洗濯機。炊飯器。エアコン。電子レンジ。
家から出てみれば、車。電車。飛行機。コンビニのレジ。百貨店のトイレ。
社会インフラたる電気、水道、ガス、電波、交通システム、銀行。日本を侵略から守る戦 車、軍艦、戦闘機、ミサイル。
これら全てが、半導体によってつくられたコンピュータで制御されています。
コンピュータが無くなったら?
……これら全ての製品が動かない。電気は止まり、交通機関は完全に麻痺、外国が攻めてきても軍艦の一隻も動かせません。
もはや半導体は、産業のコメではなく、文明社会の脳となっているのです。
生産
半導体の生産過程、供給網(サプライチェーン)は非常に複雑化しているため、理解が少し大変です。
また、半導体は専門分化・多国籍企業の活躍などにより、企業の本拠地と製造拠点が異なる例が多く見られます。
原料の製造
半導体の原料となるのはケイ石と呼ばれる鉱物で、これを精製してシリコンインゴットを製造します。
シリコンインゴットを薄くスライスすると、シリコンウエハができます。これが半導体の基盤となります。
この分野では日本が世界的にも大きなシェアを持っています。
前工程・後工程
前工程
シリコンウエハに微細な回路を描く工程を、前工程といいます。
ウエハに細ーい線を描いて、そこに電気が流れるようにします。
この工程が得意なのが台湾や韓国です。
回路を描くと、鏡みたいだったシリコンウエハはこのようになります。
後工程
チップ一つ一つを切り出し、パッケージングする工程を後工程といいます。
一枚のシリコンウエハには、チップ数十~数千個分の回路が描かれています。
ウエハを切って、チップ一つ一つを切り出していきます。
切り出したチップは、そのままでは使えません。
チップは、いわば脳のようなものです。脳がむき出しの人はいませんよね。
脳は頭蓋骨というパッケージに守られ、身体の他の部分と繋がっています。
半導体も同じで、チップはコーティングして守ってあげたうえで、電気回路を他の部品と繋げないといけません。
このように、チップを樹脂でつつみ、外と電気的につながるようにする工程を、後工程といいます。
主な半導体企業
- インテル(米国)
- TSMC(台湾)
- サムスン(韓国)
などが有名です。
世界的な日本企業はあまりありません。1980~90年代までは日立やNEC、東芝などが圧倒的でしたが、日米半導体貿易摩擦、韓国・台湾勢の台頭により衰退しました。
日本の半導体戦略
日本は現在半導体の製造技術で台湾や韓国に後れをとっていることから、近年では官民挙げて巻き返しが図られています。
この中でも特に目立つのはTSMC(台湾)の誘致、ラピダス設立による先端半導体の国産化でしょう。
また、先端部品の国産化を目指し2022年にラピダスが設立され、北海道千歳市に工場が建設中です。
これらの企業には政府が数兆円単位の補助金を投入し、半導体産業を本格的に推進する姿勢を明らかにしています。