概要
「アルケン」とは、炭素・水素がつながった鎖式化合物のうち二重結合を持つものたちのこと。鎖式とはループ構造がないという意味で、たとえば以下がアルケンの具体例です。

アルケンはアルカンからを2個引き抜いた構造なので、炭素数が個であるアルケンの分子式は で表すことができます。そしてアルケン(Alkene)は、アルカン(Alkane)の語尾を~eneに変えた名前になっています。

単結合のみからなるアルカンは化学反応性が低かったですが、二重結合部分に電子が密集しているアルケンは、電子を狙われて「付加反応」が起きやすいです。

詳細
アルケンの構造
アルケンは、アルカンの単結合の1つが二重結合になったような構造で、融点・沸点などの物理的性質はアルカンとあまり変わりません。しかし、二重結合があることによってアルケンは「シス-トランス異性体」を持つことがあります。

詳しくはシス-トランス異性体の辞書を確認しておきましょう。
化学的性質
アルケンの二重結合は、単結合と比べて電子が密集しているので、二重結合の電子に働きかける反応が起こりやすいです(*補足1)。
(1)付加反応
二重結合の片方が切れて、新たな結合を作る反応です。アルケンに付加反応を起こす物質は主に、ハロゲン、酸、水、水素を覚えておきましょう。

詳しい仕組みなどは「付加反応」の辞書をチェック!
(2)酸化開裂
電子を豊富に持つ二重結合に、電子を求める酸化剤であるオゾン(*補足2)や過マンガン酸カリウム(*補足3)を加えると、二重結合が切れてしまう酸化開裂が起こります。

ただし、この反応が出題される場合は必ず反応式が与えられるので、以上の式を細かく覚える必要はありません。
補足
- (*補足1)現象をさらに理解するには「π結合」を知っておくとよりよいと思います。高校レベルではないので必須ではありませんが、気になる人は辞書を確認してみましょう。
- (*補足2)図にあるように、実際にはオゾンで酸化した後に亜鉛やジメチルスルフィドを加えます。詳しくは「オゾン分解」の辞書を確認してみましょう。
- (*補足3)下図はオゾン分解の例ですが、過マンガン酸カリウムでもほぼ同じことが起こります。ただし過マンガン酸カリウムは酸化力が強いため、たとえばがでアルデヒドが発生するとき、さらに酸化されてカルボン酸になります。また、とが共にのとき、さらに酸化されて二酸化炭素と水になります。