フィードロット
フィードロット
日本語で「肥育場」。
穀物をはじめとする濃厚飼料を与え、家畜を太らせる設備のこと。
高校地理では、肉牛のフィードロットについて取り上げられることが多い。
放牧と肥育
飼育方法の違い
放牧は、家畜を草原で放し飼いにする飼育方法のこと。家畜は自然に生えている草を食べて育つ。
肥育は、家畜を畜舎やフィードロットで飼育し、あまり運動をさせず、栄養価の高い濃厚飼料を与えて早く太らせる飼育方法のこと。
フィードロットの飼料には、大豆油かすやトウモロコシなどの穀物をはじめとした栄養たっぷりな濃厚飼料が用いられるほか、ホルモン剤を投与して成長を早めることもある。
特徴
肥育の方が家畜が速く成長するため、飼育期間が短く済むメリットがある。また、土地生産性も高い。
一方、肥育では飼料を購入する必要があるためコストがかかる。そのため、放牧の方が費用は安く済む。
地域差
土地が有り余っているような地域では、放牧
生産性を上げたい地域では、肥育
が選択される傾向がある。
広大な土地が使える南米、ニュージーランド、オーストラリアなどでは放牧が中心。
牛肉を大量に効率よく生産したい米国、土地が狭く品質と経営効率が求められる日本では肥育の割合が高い。
欧州では放牧と舎飼いを組み合わせた飼育が多い。
補足~フィードロットの威力
牛の飼育頭数の1位はブラジル、2位はアメリカ合衆国です。しかしこれが牛肉の生産量となると話は別で、1位と2位が逆転してしまうのです。
数字で見ると、表のようになります。
(FAOSTAT)
明らかにおかしい話です。しかもアメリカは酪農が盛んで乳牛も多いですから、肉牛に絞って考えれば数はブラジルが圧倒しているはず。
どういうことなのでしょうか? アメリカの牛はブラジルの何倍も体が大きいのか? そんなはずはありません。
これには、肥育期間の長さが関係しています。
先程、ブラジルは放牧中心、アメリカはフィードロット中心という話をしました。両者は経営面の違いも大きいですが、牛の食生活も大きく違います。
フィードロットで与えられる餌は栄養満点な上、ホルモン剤まで与えられて成長が促進され、運動もあまりしませんので、すぐに成長し太ります。
一方放牧で育てられた牛は、栄養の少ない草しか食べずよく運動もするので太るには時間がかかるわけです。
実際、出荷するまでにかかる時間は、フィードロットで2年前後、一方のブラジルの放牧では長ければ4年弱と言われています。
濃厚飼料、ホルモン剤の投与で、こんなにも変わるものなんですね。