「人文情報学の挑戦」
九州大学大学院人文科学府長 遠城明雄
私たちが、長い伝統を有する人文学と情報科学(情報管理学とデータサイエンス)の協働によって、「人文情報学(デジタルヒューマニティーズ)」の新たな教育・研究の拠点をスタートしようと考えた理由は、大きく二つあります。
ひとつは、生成AIなどの急速な発展によって、創造的な知識の価値や情報の管理・評価をめぐる社会状況が大きく揺らいでいることです。フェークニュースや偽画像が氾濫し、社会の分断を招いている状況のなかで、我々に必要なことは、情報とデータの意味を歴史と社会の文脈に位置づけ、自己を相対化しつつ批判的に分析するという人文学の視点と方法を、社会で活用しその可能性を高めることにあると思われます。
もうひとつは、人文学の根本的な問いを追究しつつ、情報科学の知見にも通じることで、人文学研究に新たな風をもたらすことができるのではないか、ということです。例えば、これまで研究者の頭の中にあった人間と世界に関する複層的な知やその方法論を、データサイエンスの手法によって解析し、多くの人々が共有できる「パブリックな知」に変換することなども考えられるでしょう。
人文情報学とは、特定の一専門分野というよりも、人文学の各専門分野が有機的に協働し、かつ情報科学と相乗的に連携して、新たな知の方法を紡ぎだしていく試みといえます。この新たな挑戦の一翼を担おうという開拓精神を持つ皆さんを、心からお待ちしています。
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