古典作品についてお話をする「万葉ちゃんねる」のよろず萩葉です!
【目次】
0:24 「今物語」とは
1:17 「やさし蔵人」原文
2:50 「やさし蔵人」現代語訳
4:29 語句の解説
5:46 アニメーションによる意訳
◆「万葉授業」再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLNPIDLCvq9XbujOfbxsExKBsflYRVvV7s
こちらは授業風の映像となっています。
題材は、「【今物語】やさし蔵人」
教科書よりも内容が理解しやすい教材を目指していきます。
動画編集:https://twitter.com/u_canyu
【原文】
大納言なりける人、小侍従と聞こえし歌詠みに通はれけり。ある夜、もの言ひて、暁帰られけるに、女の家の門を遣り出だされけるが、きと見返りたりければ、この女、名残を思ふかと思しくて、車寄せの簾に透きて、一人残りたりけるが、心にかかりおぼえてければ、供なりける蔵人に、「いまだ入りやらで見送りたるが、ふり捨てがたきに、何とまれ、言ひて来。」とのたまひければ、ゆゆしき大事かなと思へども、ほど経べきことならねば、やがて走り入りぬ。車寄せの縁の際にかしこまりて、「申せと候。」とは、さうなく言い出でたれど、何と言ふべき言の葉も覚えぬに、折しもゆふつけ鳥、声々に鳴き出でたりけるに、「あかぬ別れの」と言ひけることの、きと思ひ出られければ、
物かはと君が言ひけむ鳥の音の今朝しもなどか悲しかるらん
とばかり言ひかけて、やがて走りつきて、車の尻に乗りぬ。
家に帰りて、中門に下りてのち、「さても、何とか言ひたりつる。」と問ひ給ひければ、「かくこそ。」と申しければ、いみじくめでたがられけり。「さればこそ、使ひにははからひつれ。」とて、感のあまりに、しる所など賜びたりけるとなん。この蔵人は内裏の六位など経て、「やさし蔵人」と言はれける者なりけり。
【追記】2020/4/20
(『新勅撰和歌集以下の勅撰和歌集〜』につきまして、わかりにくい表現でしたので改めて記載いたします。)
藤原信実の和歌は、新勅撰和歌集を含め他の勅撰和歌集合わせて122首も収録されています。
【引用・参考】
新編日本古典文学全集
三省堂 高等学校古典B古文編[改訂版]
【音源使用】
甘茶の音楽工房
#万葉ちゃんねる #古文 #やさし蔵人