【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
血糖調節について講義します。
語呂「リンリン!祝福のベルの音(インス"リン"、"副"交感神経、ベルBellのB、B細胞から分泌)」
●高血糖の時に働くホルモン:インスリン
①間脳視床下部が高血糖の血液で刺激される(すい臓ランゲルハンス島B細胞自身も高血糖の血液に刺激される)。
②間脳視床下部は副交感神経を介してすい臓ランゲルハンス島B細胞に命令を送りインスリンを分泌させる。
③インスリンはグリコーゲン合成などの反応を促進し、血中グルコース濃度(血糖値)を下げる。
*グリコーゲン:グルコースが長くつながったもの。動物はグルコースをグリコーゲンの形にして肝臓などに貯蔵する。
*インスリンは、グルコースの細胞内への取り込みとその利用も促進する。つまり、大雑把に言うと、インスリンは、「もっと血中のグルコースを取り込んで、消費するか、グリコーゲンに合成するかしろ」という命令である。
●非常に高い血糖は、放置すれば、血管の機能異常・失明などを引き起こす(その機序についてはまだ完全には明らかになっていない)。また、高血糖は細胞外液の浸透圧を上昇させ、脱水をもたらす。
●インスリンの主要な標的は、肝臓や、脂肪組織、全身の筋肉などである。インスリンが標的細胞の受容体に結合すると、細胞内の小胞に用意されているグルコース輸送体が細胞膜上に移動する。これにより、細胞内へのグルコースの取り込みが促進される。細胞内に取り込まれたグルコースは、代謝によって消費されたり、グリコーゲンに変換されたりする。
●インスリンの語源はラテン語のinsula(「島 island」を表す)である。インスリンはランゲルハンス「島」のB細胞から分泌される。
●バンティングとベストは1921年に、イヌの実験的糖尿病の症状を治癒させる、精製すい臓抽出物を調製することに成功した。その1か月後、彼らの調製したインスリンは、糖尿病の14歳の少年に注射された。数日内に、この少年の尿中のグルコースのレベルが劇的に低下し、少年の命は救われた。1923年までに、製薬会社はブタのすい臓から抽出したインスリンを世界中の患者に供給した。現在では、バイオテクノロジーによって、ヒトのインスリン遺伝子を大腸菌に導入することができるようになった。その大腸菌を工業的な規模で培養することで、無限ともいえる量のインスリンを生産することができる。
「何ものをも犠牲にする信念で、考え、努力する。この世に不可能なことはない、できるのだ。」バンティング
●インスリンはタンパク質なので、高血糖の患者にインスリンを「経口投与」しても意味はない。消化管で分解されてしまい、効果が消失してしまう(たまに問われる)。したがってインスリンは注射によって血液中に直接投与する。
問題:インスリンを分泌する内分泌腺は何か。
答え:すい臓ランゲルハンス島B細胞
問題:すい臓ランゲルハンス島B細胞に命令を伝える自律神経は①交感神経か②副交感神経か。選べ。
答え:②(血糖値を下げる必要があるのは食後。食後はリラックスしている。リラックスを司るのは副交感神経。ちなみに交感神経は食前のイライラ[獲物を捕らえる準備・闘争状態への切り替え]を司る)
●インスリンが分泌されるまでの流れを自分で図で説明してみましょう。
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