今回のテーマは「重力屈性」です。
「植物を光が当たらない条件で水平方向に置くとどうなる?」
→茎は上方向に屈折(負の重力屈性)、根は下方向に屈折(正の重力屈性)
今回はそのしくみについて説明しました。
まず重力屈性に関わる植物ホルモン「オーキシン」の作用についての確認です。
オーキシンは茎では成長促進、根では成長抑制のはたらきを示します。(これは正確な言い方ではなく、正確に言うと、根はオーキシンに対する感受性が高い、茎はオーキシンに対する感受性が低い。)
次に根の構造を見ると、内側から「中心柱(維管束を含む部分)」、「皮層」「表皮」があります。中心柱ではオーキシンを排出するPINタンパク質が下側(先端部側)にあるので、オーキシンは先端部側に運ばれていきます。一方表皮や皮層にはPINタンパク質は上側(基部側)にあるのでオーキシンは基部側に運ばれていきます。
では植物を水平方向に置くと・・中心柱ではオーキシンは先端側に運ばれ、根冠に達します。根冠にはコルメラ細胞という重力感知細胞があり、細胞の中に重力によって移動するアミロプラストがあります。
(アミロプラストは色素体の一種で、色素体には、クロロフィルを持つ葉緑体や、カロテノイドをもつ有色体、色素を持たない白色体、色素を持たずデンプンをもつアミロプラストがある。)
アミロプラストが重力方向に移動していくことで、PINタンパク質も下側(重力方向)に集まってきます。すると、下側ではオーキシンの濃度が高くなり、上側ではオーキシンの濃度が低くなります。
根ではオーキシンの濃度が高いと成長を抑制するので、下側があまり伸びず、上側は通常通り伸びるため、根は下側に屈折します。(正の重力屈性)
茎では皮層の1番内側にアミロプラストを持った細胞があるため、重力によってアミロプラストが下側(重力方向)に移動します。すると下側ではオーキシンの濃度が高くなり、上側ではオーキシンの濃度が低くなります。
茎ではオーキシンの濃度が高いと成長を促進するので、下側がよく伸び、上側は通常通り伸びるため、茎は上側に屈折します。(負の重力屈性)
〜おまけ〜
ちなみに「アミロプラストの移動をコルメラ細胞が受け取るしくみ」はまだよく分かっていません。「アミロプラストが細胞の下側にある小胞体に接触または圧力を加えることが応答のきっかけとなる」「さまざまな植物種のコルメラ細胞で、一貫して沈降する唯一の細胞小器官がアミロプラストであり、その沈降速度は重力刺激を感受するのに必要な時間とよく一致する」(テイツザイガー植物生理学・発生学より)と書かれているので、アミロプラストの移動をコルメラ細胞がどう受け取っているのか、またそれによってどのような仕組みでPINタンパク質が局在していくのかは、まだ分からないようですね。