今回はエイムス試験を扱った問題の解説を行いました!
難関国公立大学の2次対策、難関私立の対策用にどうぞ。
以下問題(参考2017京都大学)
次の文章(A),(B)を読み,問1~問6に答えよ。解答はすべて所定の解答欄に記入せよ。
(A) XとYは新しく合成された有機化合物であるが,その人体への影響は調べられていない。有機化合物の中には突然変異を誘発する作用をもつものがあるので,XとYにそのような作用があるかどうか調べるために,次の実験1~実験4を行った。
実験1:ある細菌を,Xを加えた培養液で一晩培養した。そのあとXを取り除き,ヒスチジンを含む寒天培地の上に広げて培養して,コロニーを形成させた(図1)。それぞれのコロニーを形成した細菌を,ヒスチジンを含まない寒天培地(以下,無ヒスチジン培地と呼ぶ)に位置関係を保ったまま移して培養したところ,図2のように,①1つのコロニーに由来する細菌(変異体A)だけが増殖しなかった。なお,ヒスチジンは,この細菌が増殖するためには不可欠なアミノ酸である。
実験2:実験1で得られた変異体AをXを加えた培養液で再び一晩培養したあと,Xを取り除いて,無ヒスチジン培地の上に広げて培養した。すると,数は少ないがコロニーが形成された。このことは,変異体Aの一部がさらに突然変異を起こして,培地中にヒスチジンが含まれていなくても増殖できるようになったことを示している。一方,変異体Aを,Yを加えた培養液で一晩培養したあと,Yを取り除いて無ヒスチジン培地の上に広げて培養したところ,コロニーは1つも形成されなかった。
実験3:続いて,X,Yと生体内の物質の相互作用を調べるために,動物(ラット)の肝臓を生理食塩水の中で破砕して得た抽出液(肝臓抽出液)を用いた。この肝臓抽出液にはヒスチジンは含まれていない。また,肝臓抽出液を培養液に加えて変異体Aを一晩培養したあと,無ヒスチジン培地の上に広げて培養しても,コロニーは形成されなかった。
Xを種々の量の肝臓抽出液と混合して37℃で1時間保温し,その混合物を培養液に加え,変異体Aを一晩培養した。そのあとXを取り除いて,無ヒスチジン培地の上に広げて培養した。すると,Xと混合した肝臓抽出液の量によらず,形成されるコロニーの数は同じであった。一方,同様にYと肝臓抽出液を混合して,37℃で1時間保温し,その混合物を培養液に加え,変異体Aを一晩培養した。そのあとYを取り除いて,無ヒスチジン培地の上に広げて培養した。すると,Yと混合した肝臓抽出液の量が多いほど形成されるコロニーの数が多くなった(図3)。
実験4:肝臓抽出液を80℃で10分間加熱処理したあと,Yと混合して37℃で1時間保温した。その混合物を培養液に加え,変異体Aを一晩培養した。そのあとYを取り除いて,無ヒスチジン培地の上に広げて培養した。すると,コロニーは形成されなかった。
問1 下線部①について,変異体Aが無ヒスチジン培地で増殖しなかったのは,どのような遺伝子に突然変異が存在するためと考えられるか,解答欄に記せ。
問2 実験3において,Yと肝臓抽出液を混合して37℃で保温するとコロニーが形成されるようになった理由を考え,解答欄の枠の範囲(12.6cm×3行)内で説明せよ。
問3 実験4の結果から,図3の結果をもたらした肝臓抽出液に含まれる物質の性質と種類について推定されることを,解答欄の枠の範囲(12.6cm×3行)内で記せ。