【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
生産構造図および層別刈取法について講義します。
広葉型の生産構造図となる草原に優占する植物の例:オナモミ、ダイズ、アカザ、ミゾソバ
語呂「耳赤くなって高揚しちゃう、大好き(耳でオナモ"ミ"、"ミ"ゾソバ。赤でアカザ。高揚で広葉。大好きでダイズ。)」
イネ科型の生産構造図となる草原に優占する植物の例:ススキ、イネ、チカラシバ、チガヤ
問題:光が下部まで届き、物質生産に有利なのはイネ科型か。広葉型か。
答え:イネ科型
問題:生産構造図は何という方法で作成するか。
答え:層別刈取法
*動画中の1mと20cmの縮尺がおかしいですが、イメージだけつかんでください。資料集で実際に実験をしている写真を見てください。
*「生産構造」や「層別刈取法」の語について、今回は説明のために詳しく解説しましたが、高校教科書・資料集ではふつうもっとアバウトに書かれています。必ず教科書の記述も確認しておきましょう。
● 植物群落(同一の環境内に生活する植物の集団)内の同化器官と非同化器官の空間的な分布状態を生産構造という。
● 植物群落の生産構造を解明するための技法を層別刈取法といい、層別刈取法を行って植物群落の生産構造を図に示したものを生産構造図という。
*生産構造図:植物群落の同化器官と非同化器官の量的関係を、一定間隔に分け、垂直的に表したもの。
● 層別刈取法の詳細
①まず光強度の垂直分布を測定する。
②次に、一定面積を地上に定め、その内部に含まれる植物を一定の厚さの層ごとに切り分け、各層ごとに同化器官(葉)と非同化器官(光合成を行わない茎など)の質量を測定する。その結果を表した図を生産構造図という。
● 草本植物の生産構造は広葉型とイネ科型大別される。
①広葉型:葉が水平に茎の上部につく広葉型では、光が上層でさえぎられて、群落の内部にほとんど光が届かない。また、一般に同化器官に比べて非同化器官の割合が高く、有機物生産に有利とはいえない。
しかし、他の植物より丈が高ければ、おおいかぶさって光をうばい取ることができる。
②イネ科型:細長い葉が斜めに立ち上がるイネ科型では、群落の内部まで光がよく届く(したがって葉が多く存在できる)。同化器官に比べて非同化器官の割合が低いので『有機物の生産に有利である』。(よく問われる)。
● 層別刈取法は、門司正三らが提唱した、植物群落の生産構造を解明するための技法である。一定の時間間隔で経時的に調査を行うことにより、その群落構造の変化を物質生産と結び付けて解析することもできる。なかなか実際にできない実験かもしれないが、資料集で写真は見ておくと良い(高校生のころ、大学で簡易的にやらせていただいたことがある。滅茶苦茶大変だったことを覚えている)。
Q.生産構造図なんて作らなくても写真を撮ればよくない?…植物のどの高さに葉が多くついているか、図にすると見やすくなる。見た目を数値化することも大切である。
Q.生産構造図がなんとなくしっくりこない。…見慣れない形にびっくりするだろうが、難しい図ではない。相対照度は、光の当たる強さのこと。上の方の葉ほど明るい光を受けるのは当たり前で、地面に近づくほど暗くなる。左右に突き出たグラフは、左右で分けて考える。どうして葉とそれ以外の重さを区別して別のグラフに描くかと言うと、葉は、光合成を行う特別な器官だからである。どの明るさの位置に、どのくらいの量、どのような形の葉をつけるかは、植物にとって、非常に重大な、生存に関わる選択である。
*森林の層別刈取法では、一部の木だけ伐採して、そのデータをもとに、区画内の伐採しなかった木についての値を推定するなどして生産構造図をつくる。
0:00 層別刈取法
1:22 生産構造図
#層別刈取法
#生産構造図
#高校生物