女子高生の噂で潰れかけた銀行

皆さん、こんにちは。
突然ですが、女子高生の何気ない噂話が原因で潰れかけた銀行をご存知ですか?
「まさか、そんなことで?」と思うかもしれませんが、信じられないような出来事が本当にありました。
今回は「なぜ、たった1人の女子高生の噂話から銀行が潰れかけたのか」そして「それを信じる人間の心理」についてお話ししていきます。
女子高生の噂話で潰れかけた銀行とは?
事件が起きたのは1973年12月13日。場所は愛知県豊川市にある豊川信用金庫でした。
この日、豊川信用金庫の窓口には長蛇の列ができていました。そして人々は口を揃えて「預金を下ろしたい」と言い、午後には支店前がパニック状態になりました。
最終的に1日で約1800人以上の人が殺到し、約20億円の預金が引き下ろされる事態に発展しました。
当時、豊川信用金庫の預金残高は約360億円。そのうち5%強にあたる20億円が1日で引き出され、銀行側からすれば死活問題になりかねない出来事でした。
きっかけは女子高生の何気ない会話
この騒動のきっかけとなったのは、地元に住む女子高生の何気ない会話でした。
その女子高生は、豊川信用金庫への就職が内定しており、公共の交通機関の車内で友人と会話をしていました。
その際、友人の1人が「信用金庫は危ないよ」と軽いジョークを飛ばしたとされています。
この「危ない」という言葉には、「強盗に襲われるかもしれない」などの意味が含まれていたようですが、それを聞いていた周囲の乗客が、「豊川信用金庫は経営が危ないらしい」と誤解をし周りに広めてしまったのです。
※細かい女子高生の発言に関しては諸説あり。
噂の拡散と拡大解釈
「豊川信用金庫は経営が危ない」という噂は一気に周辺地域へと広がっていきました。
そしてその噂話の中には、尾ひれがついたようなデマが次々と発生しました。例えば…
• 「職員が金を横領したらしい」
• 「理事長が責任を取って辞めたらしい」
• 「経営破綻寸前らしい」
などの全く根拠のない話が次々と追加されていったのです。豊川信用金庫側は「何も問題はない」と何度も否定しましたが、人々は聞き入れませんでした。
なぜ噂話は信じられやすいのか
ではなぜ多くの人が根拠の無い噂話を信じられたのでしょうか?
こうした噂話が一気に信じられてしまう背景には、人間の心理があるとされています。
1つ目は、「検証手段がない噂話は、信じやすい」という心理です。
例えば「豊川信用金庫が潰れそう」という話を聞いても、一般の人は実際に調べる術がありません。
だからこそ、「もしかして本当かも」と不安になり、信じてしまうのです。
2つ目は「自分に直接利害関係が無い噂話は信じやすい」心理です。
人間は周りから自分に直接利害関係がない噂話を聞いた際に「へーそうなんだ」と疑わずに信じやすいとされています。
なぜなら自分に直接利害関係の無い噂話なら、特に疑ったり否定する必要がないからです。
そのため、その聞いた噂話を疑うこともなく別の人に伝えることで更に拡散されていくのです。
3つ目は、「当事者が否定すればするほど信じにくくなる」という心理です。
噂話の当事者がいくら否定しても、「そりゃ否定するだろう」と思われてしまい、逆に火に油を注いでしまうのです。
例として、学校で「AくんがBくんのお菓子を盗んだ」という噂が流れたとしましょう。
Aくんが「盗んでない」といくら否定しても、「当事者だから否定するのは当然」と思われがちです。
この心理が社会全体で働くと、パニックがどんどん大きくなってしまうのです。
まとめ
このように豊川信用金庫は女子高生の何気ない噂話が広まっていき結果的に一銀行が潰れかける騒動に発展しました。
以前の記事(誹謗中傷をするとどうなるのか)でも紹介しましたがデマや噂話を拡散することは犯罪になる可能性もあります。
だからこそ私たちは、どの様な情報でも「これって本当なのかな?」と1度立ち止まって考える力を持つ必要があります。
最後までありがとうございました。