小さいけど広い?沖ノ鳥島の秘密
皆さん、こんにちは。
突然ですが、日本国内には「とても小さいのに、とても広い」そんな不思議な島があることをご存じでしょうか?
その島は、日本を経済的、安全保障的に極めて重要な島となっています。そして、その島が持つ排他的経済水(EEZ)の広さは、日本の国土面積以上ともいわれています。
今回は、その島がどのような役割を持ち、なぜ「とても小さいのに、とても広い」のかについて紹介します。
小さいけど広い島とは
とても小さいのに、とても広い島それは東京都小笠原村に属する沖ノ鳥島です。
沖ノ鳥島は東京都小笠原村に位置する、日本最南端の無人島です。沖ノ鳥島は、海抜わずか数十センチメートルしかなく、満潮時にはほとんどが水没してしまうほど小さな島です。しかし、この島が持つ排他的経済水(EEZ)は非常に広大なものとなっています。
なぜ沖ノ鳥島が重要なのか、その理由は国際海洋条約にあります。
沖ノ鳥島が持つEEZの広大さ
国際海洋条約では、その国は島を基点に排他的経済水(EEZ)を設定できると定められています。沖ノ鳥島は東京23区から約1700km離れた太平洋の沖にあり、周辺には日本の領土となる他の島がありません。そのため沖ノ鳥島があることで日本は広大な排他的経済水(EEZ)を確保できています。
豊富な海洋・海底資源
排他的経済水(EEZ)内では、その国が独占的に海洋資源や漁業資源を管理することができます。沖ノ鳥島は太平洋の沖に存在するため豊富な魚が生息しています。そのため、日本の漁業にとっても非常に重要なエリアとなっています。
さらに、この海域にはメタンハイドレートを初めとする貴重な海底資源が眠っているとされており、エネルギー資源の確保という観点からも極めて価値のある場所となっています。メタンハイドレートについて詳しくはこちらの用語へ。
沖ノ鳥島を巡る国際的な論争
しかし、沖ノ鳥島の排他的経済水(EEZ)の広さが日本にとって大きなメリットである一方で、それを快く思わない国もあります。例えば中国などは、「沖ノ鳥島は島ではなく岩である」と主張し、日本の排他的経済水(EEZ)の正当性を否定しようとしています。
国際海洋法では、排他的経済水(EEZ)を設定できるのは島に限られています。
もし沖ノ鳥島が岩だとされてしまえば、日本はこの広大な排他的経済水(EEZ)を失うことになります。
ただ現在の国際的な見解では、岩と島の明確な定義が無いこともあり沖ノ鳥島は日本の領土で島であると認められています。※各国が沖ノ鳥島のような島を所有していることも関係していますが…。
沖ノ鳥島を守るための取り組み
一時、沖ノ鳥島は波や風による侵食によって沈没の危機にありました。
もし完全に沈んでしまえば、「島か岩か」という議論以前に、日本の領土そのものが消滅し、広大な排他的経済水(EEZ)を主張することができなくなってしまいます。
そのため、日本政府は沖ノ鳥島の周囲に護岸工事を行い、沖ノ鳥島を波の侵食から守る対策を進めています。
ただし、国際海洋条約では「人工的に作られた島は排他的経済水(EEZ)の基点として認められない」とされているため、島を人工的に拡張することはできません。
ただ自然環境の力で島を拡張することは禁止されていません。そのため日本政府は沖ノ鳥島の周りにサンゴ礁を設置を進めることで、「自然に」島を拡張しています。
まとめ
このように、沖ノ鳥島は非常に小さな島ですが、日本の経済や安全保障にとって極めて重要な役割を果たしています。
しかし、今後も「沖ノ鳥島は岩である」と主張する国が出てくる可能性は十分にありますし、日本国内でも沖ノ鳥島の価値を軽視する意見が出るかもしれません。
もし、沖ノ鳥島の保全にかかる予算が削減されたり、岩と解釈されるような政治的動きが進められれば、日本は広大な排他的経済水(EEZ)を失い、漁業・資源・安全保障の面で大きな悪影響を受けることになります。
そのため、私たちが「沖ノ鳥島は誰が何と言おうと島である」という認識を持ち、領土と排他的経済水(EEZ)の重要性を理解することが極めて大切です。
皆さんもぜひ沖ノ鳥島について関心を持ち、日本の未来を守るために考えてみてはいかがでしょうか?
最後までありがとうございました。