燃料電池車(FCEV)③ 水素ステーション vs. 電気自動車充電スタンド:コストと実用性の考察
水素ステーション vs. 電気自動車充電スタンド:コストと実用性の考察
(前回の記事はこちら)
燃料電池車(FCV)の普及に必要不可欠なのが、水素ステーションです。しかし、水素ステーションの設置には大きな投資が必要で、一般的には2億円を超えるケースも少なくありません。
実際のところ、設置費用が1億円を下回ることは稀で、これは個人や小規模事業者にとっては高すぎる金額です。
(愛知県豊田市の水素ステーション)
(とよたエコフルタウン水素ステーションにて著者が撮影)
対照的に、電気自動車(EV)の充電スタンドは、数百万円から数千万円で設置が可能であり、水素ステーションと比較するとコストは約十分の一です。
水素ステーションは実はコスパがいい?悪い?
この点から考えると、電気自動車の方が現実的な選択肢のように思えますが、ここで重要な点を見落としてはなりません。それは電気自動車の充電時間です。
通常の充電では2,3時間、時には8時間かかることもありますが、急速充電を使用すれば80%まで30分での充電が可能になります。しかし、急速充電可能なモデルは高価で、全体のコストが上がります。
一方、水素ステーションを利用すれば、給油にかかる時間は一台あたり平均3分と非常に短く、最大でも10分以内に完了します。これは、ガソリンスタンドと同等の速さです。したがって、水素ステーションが地域に1つだけあれば十分とも言えるでしょう。
しかし、電気自動車の場合、1台を充電するのに数時間必要なため、十分なサービスを提供するには複数の充電スタンドが必要となります。特に、高い利用が見込まれる地域では、数十台から数百台規模の設備が必要になるかもしれません。
例えば、1つの水素ステーションで1時間に約20台の車を処理できると仮定し、同じサービスを電気自動車の充電スタンドで提供しようとすると、1台に3時間かかるため、約60台の充電設備が必要となります。
これをコストに換算すると、電気自動車のスタンドは水素ステーションよりも遥かに高価になります。
(テスラの大規模充電スポットイメージ図)
(ChatGPTにて生成)
必要な設置台数 全体のコストを考えるべき
このように、初期投資は高くとも、水素ステーションの設置が不可能であるとすぐに結論づけるべきではありません。重要なのは、国や自治体がどちらの技術に資金を割り当て、どのようにインフラを整備していくかです。
電気自動車は確かに初期費用が低いかもしれませんが、必要なスタンドの数を考慮すると、水素の方がコストパフォーマンスが良いとも言えます。
この記事で、燃料電池車とそのインフラに関する話しを終えたいと思います。今後も持続可能な未来について考えていただけると幸いです。
最後までありがとうございました。