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日本文学史マスターへの道㉙


日本文学史マスターへの道

鏡物

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《確認ポイント》

✔︎四鏡

✔︎大→今→水→増の順       ✔︎構成や記載内容

《鏡物について》

鏡物=四鏡

“鏡”は歴史を表すもので、

鏡がついた歴史物語が4作品ある。

その総称が、鏡物であり四鏡である。

《成立順》

『大鏡』→『今鏡』→『水鏡』→『増鏡』

《記載内容の年代順》

『水鏡』→『大鏡』→『今鏡』→『増鏡』

### 今鏡

《作者》

未詳だが、

藤原為経(寂超)と考えられている。

《成立過程》

序文から嘉応2(1170)年成立と考えられるが、その後の作とも考えられている。

《構成》

『大鏡』の後の第68代後一条天皇から

第80代高倉天皇までの1

3代146年の歴史を人物伝を

紀伝体で記した歴史物語。

《内容》

天皇や藤原子についての個人の伝記に加え、

漢詩や和歌に関する内容、

『源氏物語』についての内容、

貴族社会文化によって構成され、

大宅世継の孫とされる200歳に及ぶ老女が昔語りをしており、

それを作者が筆録する体裁である。

《文体》

『栄花物語』のような和文体。

《『今鏡』冒頭》

やよひの十日あまりのころ、

おなじ心なるともたち、

あまたいざなひて、

はつせにまうで侍りしついでに、

よきたよりに寺めぐりせんとて、

やまとのかたに旅ありき日比するに、

路とをくて日もあつければ、

こかげにたちよりて、

やすむとてむれゐる程に、

みつわさしたる女のつえにかゝりたるが、

めのわらはの花がたみにさわらび折りいれて、

ひぢにかけたるひとり具して、

そのこのもとにいたりぬ。

### 水鏡

《作者》

未詳だが、中山忠親かと考えられている。

《成立過程》

12世紀末ごろの成立と見られる。

《構成》

『大鏡』の前にあたる初代神武天皇から

第54代仁明天皇までの54代の歴史を

編年体で記した歴史物語。

《内容》

ほとんどが史書の『扶桑略記』の内容によっており、

仮名書きの和文体に改め抜粋した物である。

修行者が仙人から聞かされた昔話を語り、

73歳の尼が筆録する体裁である。

《『水鏡』冒頭》

つつしむべき年にて過ぎにし二月の初午の日、

龍盖寺へまうで侍りて、

やがてそれより泊瀨にたそがれの程に參りつきたりしに、

年のつもりにはいたく苦しう覺えて師のもとにしばし休み侍りしほどにうちまどろまれにけり。

初夜の鐘の聲におどろかれて御前に參りて通夜し侍りしに、

世の中うちしづまるほどに修行者の三十四五などにやなるらむと見えしが經をいとたふとく讀むあり。

### 増鏡

《作者》

未詳だが、二条良基や兼好かと考えられている。

《成立過程》

14世紀中ごろで永和2(1376)年より前に成立と見られる。

《構成》

第82代後鳥羽天皇誕生から

第96代後醍醐天皇が隠岐から還幸までの

およそ150年の歴史を編年体で記した歴史物語。

《内容》

貴族の没落と武士の台頭という時代背景も相まって、

王朝貴族時代の憧れを持ち、公家社会の動向を描く。

100歳余りの尼が昔語りをし、

筆者が再録する体裁を取る。

《文体》

『源氏物語』のような擬古文

《『増鏡』冒頭》

きさらぎの中の五日は鶴の林にたきゞつきにし日なれば、

かの如來三傳の御かたみのむつましさに、

嵯峨の淸凉寺にまうでゝ、

常在靈鷲山など心のうちに唱へて拜み奉る。

傍にやそぢにもや餘りぬらむと見ゆる尼ひとり、

鳩の杖にかゝりてまゐれり。

とばかりありて「たけく思ひたちつれど、いと腰いたくて堪へがたし。

今宵はこの局にうちやすみなむ。

坊へ行きてみあかしの事などいへ」とて、

具したる若き女房のつきづきしきほどなるをばかへしぬめり。

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