イスラム教
概要
世界三大宗教の一つ、イスラム教についてです。
ムハンマドによって創始され、聖典『コーラン』をもとに発展していきます。
時代
610年〜
場所
詳細
歴史
6世紀ごろのアラビア半島は、東西を結ぶ交易としてさかえていました。
メッカの大商人はこれにより利益を挙げ、そのメッカの支配層、クライシュ族に生まれたムハンマドがイスラム教を創始しました。
610年頃、唯一神アッラーのことばを授けられた預言者であると自覚し、当時信仰されていた多神教に変わり一神教のイスラム教を唱えます。
しかし、富の独占を批判したこと、偶像を禁止したことなどから迫害をうけ、622年にメッカからメディナ(ヤスリブ)に移住(ヒジュラ/聖遷)し、共同体(ウンマ)を建設します。
630年にムハンマド率いるメディナ軍がメッカを無血征服し、カーバ神殿の偶像を破壊し聖殿とします。
こうしてアラブ人の諸民族はムハンマドに従うようになり、統一を進めていくこととなります。
特徴
ムスリム
イスラム教は民族などに関係なく共同体を構成します。
信者はムスリムと呼ばれ、改宗者はマワーリーと呼ばれました。
また啓典の民とみなされたキリスト教徒やユダヤ教徒などは、被征服地においてもズィンミー(庇護民)として信仰の自由が保証されました。
コーラン
聖典『コーラン(クルアーン)』はムハンマドにくだされたことばを彼の死後に集成したもので、全ての規律はこの解釈から生み出されたものです。
教義は「唯一神アッラーに従うこと」であり、ムハンマドも使徒ではあるが主人である神に服従する人にすぎないとされています。
六信五行
信仰と行動をまとめたものが六信五行で、
①神、②天使、③啓典(コーラン、『旧約聖書』、『新約聖書』など)、④モーセ、イエス、ムハンマドなどの預言者たち、⑤来世、⑥神の予定
の六つを信じること、
①信仰告白、②礼拝、③喜捨、④断食、⑤メッカ巡礼
の五つを行うことが定められています。
流派
流派は正統カリフの3人(アブー・バクル、ウマル、ウスマーン)の正当性を巡り大きく二つに分かれ、正当性を認める多数派がスンナ派、認めない少数派がシーア派と呼ばれています。
また10世紀には神秘主義(スーフィズム)が盛んに信仰されるようになります。
これは神との一体化を求めたもので、踊りなどで信仰があらわされます。
その他
暦はイスラーム暦(ヒジュラ暦)が採用されており、ヒジュラを紀元元年の元日とした太陰暦となっています。
共同体拡大のためにしばしば戦いも行われ、これらはジハード(聖戦)と呼ばれ、征服地には軍営都市(ミスル)が建設されました。
都市部では信仰と学問の場であるモスクや、市場(スーク)を中心に生活が営まれました。
モスクや学院は、支配者たちのワクフと呼ばれる寄進により、より発達しました。
政治
アッバース朝時代には イスラーム法(シャリーア) に忠実な政治が行われるようになります。
財政基盤は主に地租(ハラージュ)と人頭税(ジズヤ)の二つで、従来は征服地の先住民にのみ課されていましたが、アッバース朝時代からはムスリムであれば誰でもハラージュは免除され、全員にジズヤは課されることとなりました。