塩析
概要
「塩析」とは、親水コロイドに多量の電解質を加えると沈殿する現象のこと。電解質が電離したイオンが親水コロイドを取り囲む水和水を奪い取り、コロイドが水和できなくなることで沈殿してしまいます。
ただし、少量の電解質なら分散媒の水と水和すればことたります。しかし多量に加えて分散媒を使い切ると、次は親水コロイドから略奪を開始します。傲慢な電解質です。
少量の電解質で沈殿が起こる「凝析」と区別しましょう。
詳細
仕組み
親水コロイドは、親水基をたくさん持つ巨大分子である分子コロイド・複数の分子が集まって親水基に取り込まれた構造を作る会合コロイドに分かれますが、どちらも水和されることでコロイドとして分散しています。
そんな親水コロイドに電解質を多量に加えると、水和水が引き剥がされて沈殿してしまう「塩析」が起こります。分散媒の水との水和が終わってから親水コロイドの水和水を奪い取るため、塩析を起こすには多量の電解質が必要です。
応用
塩析を利用した一番身近な例が「豆腐」です。タンパク質が分散した親水コロイドである豆乳に電解質として"にがり"(
補足
- 飽和塩化ナトリウム水溶液にエタノールを加えると、塩化ナトリウムが沈殿してきます。飽和溶液では、溶媒の水が水素結合をフル活用して
と を水和している状態です。そこにエタノールが加わると今までイオンを水和していた水とエタノールが水和し、残されたイオンは となって沈殿してきてしまうというわけです。塩析はこの現象と同じような仕組みです。
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