伊勢物語 〜芥河〜
伊勢物語 〜芥河〜 深掘り解説
ここでは、伊勢物語 〜芥河〜 について、あらすじをサクッとビジュアルで理解していこう。
鬼に喰われた?
むかしおとこありけり。おんなのえうまじかりけるを、としをへてよばひわたりけるを、からうじてぬすみいでて、いとくらきにきけり。
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「えうまじかりける」は、え〜打消が含まれていて、手に入れられそうにないという意味。
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「よばひ」は、求婚すると言う意味。漢字では「婚ふ」って書く!
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「ぬすみいでて」は意味は同じ、盗んで外に出てきたってこと。
あくたかわといふかはをゐていきければ、くさのうへにをきたりけるつゆを、かれはなにぞとなむおとこにとひける。
- 現代とほぼ同じ意味だね、草の上の露は何かを聞いているんだね。
ゆくさきおほく、よもふけにければ、おにあるところともしらで、かみさへいといみじうなり、あめもいたうふりければ、あばらなるくらに、おんなをばおくにをしいれて、おとこ、ゆみ、やなぐひをおひて、とぐちにをり。
- 「鬼」は今の鬼を指すこともあるけれど、ここでは良くない霊的存在という意味がある。
はやよもあけなむとおもひつつゐたりけるに、おにはやひとくちにくひてけり。あなやといひけれど、かみなるさはぎにえきかざりけり。
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「あなや」はあっとという感動詞。
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「かみなる」で「えきかざりけり」ということは、前にもあったえ〜打消で、雷の音で女の声は聞こえていない。
やうやうよもあけゆくに、みればゐてこしおんなもなし。あしずりをしてなけどもかひなし。
- 「あしずり」は地団駄を踏むこと。
しらたまかなにぞとひとのとひしときつゆとこたへてきえなましものを
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これは、男から女への和歌。
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内容は、《白玉か何かとあなたが聞いたときに露だよと答えて私も梅雨のように消えて仕舞えばよかったのになあ》って感じかな。
これは、にじょうのきさきの、いとこのおんなのおんもとに、つかうまつるやうにてゐたまへりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、ぬすみておひていでたりけるを、おんせうとほりかはのおと、たらうくにつねのだいなごん、まだげらうにてうちへまいりたまふに、いみじうなくひとあるをききつけて、とめてとりかへしたまうてけり。
*またここからは作者の評価や解説なんだ!
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ここで男のモデルである在原業平と女のモデルである二条后周辺の系図を考えよう。
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作者が解説するに、女の兄がと言っているんだね。
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つまり、「おんせうとほりかはのおと、たらうくにつねのだいなごん」は二条后の兄にあたる。
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実際に、二条后には基経と国経という兄がいるよ。
*ただし要注意!「げらう」で身分が低いと書かれているね。
それをかくおにとはいふなり。まだいとわかうて、きさきのただにおはしましけるときとや。
- ここで基経と国経を鬼と言っていたことが判明したね。