源氏物語の和歌で古典力アップ!「宿木②」
源氏物語の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
このサイトは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『源氏物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
711 みなれぬる 中の衣と 頼めしを かばかりにてや かけ離れなむ
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[現代語訳]
こうして逢い見馴(みな)れた仲(なか)らいの、との身(み)に慣(な)れた中(なか)の本、わたくしはこの妹背の仲をひたすら頼みにいたしておりましたのに、こんな香(か)ばかり…かばかかのことで、すっかり縁が切れてしまうのでしょうか
by林望『謹訳源氏物語』
712 結びける 契りことなる 下紐を ただ一筋に 恨みやはする
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[現代語訳]
わたくしならぬお方と契りを結んでしまわれたあなたですが、こうして結びおく下紐一筋…そのようにただ一筋にあなたを恨むことなどできるはずもございませぬ。…もとよりわたくしのほうから、そのあらぬお方に、あなたを譲ったのですから
by林望『謹訳源氏物語』
713 宿り木と 思ひ出でずは 木のもとの 旅寝もいかに さびしからまし
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[現代語訳]
この宿木(やどりき)の一枝ではないが、ことに宿(やど)りきと思い出すのでなかったら、こんな木の下の旅寝は、どんなに寂しく物足りないものであったろうか
by林望『謹訳源氏物語』
714 荒れ果つる 朽木のもとを 宿りきと 思ひおきける ほどの悲しさ
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[現代語訳]
こんなに荒れ果ててしまった村木のような老尼の宿りに、その宿木(やどかき)ではございませぬが、かつて宿(やど)かきと覚えておいてくださいました。それにつけてもその頃は姫さまがおいでであったと思い出されて、悲しゅうございます
by林望『謹訳源氏物語』
715 穂に出でぬ もの思ふらし 篠薄 招く袂の 露しげくして
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[現代語訳]
あの薄は穂に出ぬままに物思いをしているに違いない…そなたも、その如く面には出さず下心になにか懊悩すると見える…ほら、ああして手招きしている排が、涙の露でしっとりと濡れているぞ…
by林望『謹訳源氏物語』
716 秋果つる 野辺のけしきも 篠薄 ほのめく風に つけてこそ知れ
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[現代語訳]
ああ、もう秋(あき)果でるとの野辺の景色も、あの薄の穂(ほ)をほのかに揺らしている風の様子で分かります…あなたさまがもうわたくしに飽(あ)き果てておられるのも、ほのめかされるご様子で分かります
by林望『謹訳源氏物語』
718 すべらきの かざしに折ると 藤の花 及ばぬ枝に 袖かけてけり
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[現代語訳]
天皇陛下の捕頭にとて、折る藤の花は、身の丈よりも高く手の及ばぬ枝にまで、細をかけましてございます…高嶺の花の女宮の婿になしていただきました
by林望『謹訳源氏物語』
719 よろづ世を かけて匂はむ 花なれば 今日をも飽かぬ 色とこそ見れ
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[現代語訳]
これから未来永劫、万世に亙って美しく咲き匂う花なのだから、今日とても見飽かぬ色と、そのように見ましたぞ…そなたの未来も同じことにて
by林望『謹訳源氏物語』
720 君がため 折れるかざしは 紫の 雲に劣らぬ 花のけしきか
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[現代語訳]
わが君のためにと、折りました捕頭の藤は、紫にたなびく職製の色にも劣らね、見事な花の色香でございますね
by林望『謹訳源氏物語』
721 世の常の 色とも見えず 雲居まで たち昇りたる 藤波の花
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[現代語訳]
そとらにありふれた色とも見えませぬな、なんと宮中の製きあたりまで、立ち昇ってきた藤の、波のような花でございますれば
by林望『謹訳源氏物語』
722 貌鳥の 声も聞きしに かよふやと 茂みを分けて 今日ぞ尋ぬる
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[現代語訳]
あの顔鳥のように顔の美しい人に似た、かの姫君の、顔ばかりか声もかつて聞いた恋しい人の声に似通うであろうかと、深い越みを踏み分けて、今日という今日、ここへ尋ねてまいりました
by林望『謹訳源氏物語』
「宿木」の巻について
薫:24〜26歳の頃の話
あらすじ:今上帝が女二宮を薫に降嫁させようとするも、薫は乗り気ではなく、匂宮と六君の結婚が近づいた。薫が中君を訪ねたとき、浮舟のことを聞き、薫は感動する。
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」