資源ナショナリズム
資源ナショナリズム
ナショナリズムとは国家主義、国民主義、民族主義とも言われ、簡単に言えば自分の国や民族を第一に考える主義です。詳しくは、ナショナリズムの項で解説しています。
というわけで、「資源」ナショナリズムというのは、
「自国内でとれる資源は、自国の発展のために用いられるべきだ」
という主張であるわけです。
収奪の歴史
そもそも、資源ナショナリズムなんて御大層な言葉使わなくてもそんなこと当たり前じゃないの? と思われるかもしれません。実際その通りです。でも、現実そうではなかったから、資源ナショナリズムが叫ばれることになったわけです。
時は19世紀、帝国主義時代。ヨーロッパ列強がアジア・アフリカ諸国を分割・植民地化し、収奪を繰り返していました。
列強は植民地で鉱山や油田などの資源開発を行います。資源開発を行う会社は、本国に本社がある本国の会社です。そこで採れた鉱産資源は、自分の国の植民地で採れたものですし、本国の会社が開発したものですから当然その会社が本国に持っていきます。
ところが植民地側からしてみれば、採れた資源は全部本国に持っていかれて手元に残らない上に、資源を売却して得た利益は資源開発を行った本国の会社が全部持っていくので、資源はおろか収益すら残らないわけです。せっかく自分たちの土地で採れた資源なのに、資源も利益も全部本国に持っていかれて、その金で本国はウハウハの好景気、自分たちは貧乏なまま。そんなの良い気分がするはずがありません。
まあでも、植民地だった時代は良かったのです。あくまで本国と植民地という立場上、植民地は本国に逆らえないからです。
しかし第二次世界大戦が終わると、植民地だった地域は次々に独立し、独立国になっていきます。しかし、独立した後も資源の利権は本国が持ったまま、利益が手元に残らないという状況が続きます。当然現地住民は激おこです。
しかも今度は、植民地ではなく独立国という立場。外交上も、建前では対等な関係です。
こうなったらもう黙ってはいません。もはや植民地ではなく独立国なのに、植民地同様の収奪を受けているのはおかしい。自国の資源は自国のものだ、外国には持っていかせないぞ!! という主張がなされる中で、持ち出されたのがこの資源ナショナリズムなのです。
これがとくに盛んに言われたのは、中東の油田地帯、1950年代以降の話です。それまでは、先進国(特に英・米・蘭)の主要七大石油企業、通称メジャーと呼ばれる企業によって石油が開発され、利益を独占していました。それを、例えばサウジアラビアは油田を国有化し、利益を国家に還元するようになったのです。
また、メジャーによって国際石油市場が独占されていた記憶から、中東の産油国が中心となってOPEC(石油輸出国機構)やOAPEC(アラブ石油輸出国機構)が作られることになりました。
以上が資源ナショナリズムについての解説でした。ご理解いただけたでしょうか。