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水力発電


水力発電

河川にダムを建設して落差をつくり、水車を回転させて発電する方法です。(小規模なものではダムを造らない方法もある)

水力発電の発電容量は、

  • 水量
  • 高低差

で決まります。まあ、要は水車をどれだけブン回せるかってことなので、必然的にこの二つの要素が導かれますね。

ですから、急流水量豊富な大河川で、水力発電が盛んな傾向があります。

地域

急流や水量豊富な大河川で水力発電が盛んだと述べました。つまり、山がちな国大河川の流れる国降水量が多く、河川の流量が豊富な国で水力発電が盛んです。

発電容量が大きい国は、

  • 中国
  • アメリカ合衆国
  • カナダ
  • ブラジル

あたりが挙げられます。どれも大国で、世界に名だたる大河川があるイメージですよね。

中国は世界最大の発電容量を持つ三峡ダムが有名ですね。アメリカ合衆国も西部にロッキー山脈、東部にアパラチア山脈が走り、降水量も十分。カナダもロッキー山脈と豊富な降水があり、ブラジルには南部のパラナ川と北部のアマゾン川水系があります。

では、総発電量に占める水力発電の割合はどうでしょうか。こちらになると、

  • ノルウェー
  • アイスランド
  • スイス
  • ブラジル
  • カナダ

などが挙げられます。 ノルウェーはとても重要で、発電容量も大きい(世界第7位)上に、人口が少なく総電力需要が小さいことから、水力が圧倒的な発電割合を占めています。スイス、アイスランドも同様の理由で割合が高くなっています。

その中でのブラジルとカナダ。これは本物ですね。カナダは確かに人口が多いとは言えませんが電力需要は相当高いですし、ブラジルなんて日本より遥かに人口が多く電力需要もあります。これはひとえに、この二か国の水力の強さを見せつけていると言えましょう。

逆に、発電容量で上位のアメリカ合衆国は割合でみると大したことはありません。これは総発電量があまりにも多すぎ、水力では到底賄いきれないからですね。

特徴

水力発電の特徴は、

  • 安い
  • ダム建設が必要・・・環境破壊の懸念、建設可能地域が限られる
  • CO₂を排出しない
  • 建設費・維持費が高い

などです。

水力発電は流れてきた水で水車を回すだけなので、燃料費がかからない分発電コストが比較的低いという特徴があります。

ただ、ダム建設は非常に高額になることが多く、また適切にメンテナンスをしないと大事故につながるため、維持費も高額になる傾向があります。

また、水力発電はCO₂を排出しません。そのため、再生可能エネルギー、クリーンエネルギーの旗頭として重要な役割を担っています。

しかしながら、ダム建設は環境負荷が高いのも事実です。ですから、発電時にCO₂を排出しないからと言って環境に優しいわけではないことに注意してください。

水力発電の課題

ダム建設には数々の課題があります。その中でも代表的なのが、

  • 自然環境・生態系の破壊
  • 水没に伴う家屋・遺跡の水没など
  • 土砂の堰き止めに伴うさまざまな問題

でしょう。

自然環境・生態系の破壊

ダム建設は大規模な自然環境の改変を伴います。ダム湖の形成、水没、流量の変化…

河川がダムによって分断されてしまうというのは大きな問題で、例えば川を遡上する魚(鮭など)が上流に行けなくなり、生息数を激減させるといった事態が起こっています。

さらに、発電用ダムで顕著なのが、河川の流量減少です。図のように、ダムから発電所に導かれた水はしばらく本流に戻ってこないため、ダムから放流地点までの水量が激減するといった問題が起こります。魚が住めない程に流量が減少し、周辺の生態系に影響が出るとして大きな問題になっています。

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水没にともなう人間生活への影響

ダムによる水没は、自然環境だけでなく人間生活にも大きな影響を及ぼします。

水没する地域の住民は移住を余儀なくされ、地域のつながりが崩壊することや、生活基盤が破壊されることで生活が苦しくなることもあります。

また、遺跡など文化的な資産が水没してしまうという問題もあります。エジプトのアスワンハイダム建設に伴うアブ・シンベル神殿の移築は有名です。

土砂堰き止めにともなうさまざまな問題

ダムは水は通しますが土砂はほとんど通さないため、上流から運搬されてきた土砂はダム湖内に堆積していきます。

土砂がダム湖内で堆積していくことによって、ダム湖の総*貯水量が減少**するため、ダムの水量調節機能が低下し、洪水被害を十分に防ぐことができなくなってしまいます。

そして下流側では、土砂が流れてこなくなることによって、主に沿岸部に被害が出ます。

海岸の地形は、河川が運んでくる土砂の堆積と海による浸食のバランスによって成り立っています。ここで土砂だけが一気になくなってしまうと、浸食力が勝って、海岸がどんどん浸食されていきます。

これによって、日本では海岸浸食が進行し、砂浜の消滅などが危惧されています。

また、エジプトでは、アスワンハイダムの建設により毎年の洪水がなくなり、水害とマラリアの撲滅に成功したまでは良かったのですが、洪水と同時にもたらされていた沃土の供給が途絶え、土地がどんどん瘦せていき農業生産が落ち込んでいきました。そのため現在は肥料を大量に投入して無理やり生産力を維持している状態です。

また、土砂の供給が止まったことで下流部ではナイルデルタが縮小、塩害も発生し、土地も痩せて農業に適さない土地へと変貌しつつあります。

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