過冷却
概要
「過冷却」とは、ずばり水が0℃以下で氷にならない状態のこと。もう少し正確には、溶液や溶媒が凝固点以下になっても液体のままであることを言います(*注1)。
過冷却は非平衡状態(準安定状態)なので、平衡状態の三態を表す状態図とは矛盾した現象になります。
詳細
溶媒が分子結晶を作るとき、分子間力によって綺麗に整列する必要があります。そのため、凝固点に達しても一斉に整列することはできず、まずは「結晶核」という氷のもとみたいなのを作ります。「前へならえ」をするときに、まずは先頭のあの両手を腰に当てたみたいなポーズをする生徒を用意する、みたいな感じです(たとえ下手)。
結晶核ができるまでは0℃を下回っても凝固が始まりません。結晶核ができて凝固が始まると、冷えすぎた分一気に凝固が進んで、凝固熱によって0℃に温度が上がります。あとは冷却するエネルギーと凝固熱がつりあって0℃を保ったまま固液平衡状態になります。
補足
- (*注1)もーっと正確には気体→液体の状態変化で、沸点(凝縮点)以下で気体状態の場合も過冷却です。
- 夏になると「フリージングハイボール」という氷点下以下まで冷やしたハイボールが居酒屋で発売され、なんとなく胸躍る気持ちになります。ここでも過冷却を利用しています。(お酒は二十歳になってから)
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