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浸透圧


概要

まず「浸透」とは、半透膜で区切った容器の左右に純粋な液体と溶質が溶けた液体(溶液)を入れると、溶液側に液体が流れこむ現象のこと。そして「浸透圧」とは、ざっくり言えば浸透の勢い・圧力のこと

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正確には、液体が流れてこないように溶液側に加える圧力の大きさを浸透圧といいます。実際に浸透の勢いを測ることはできないので間接的に測定しているイメージです。

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浸透圧の大きさは、溶液のモル濃度、絶対温度、気体定数を用いて以下のように表せます。これを「ファントホッフの法則」といいます。

詳細

浸透の仕組み

小さな穴が空いている半透膜は、水分子をゆっくり通過させることができます。よって半透膜の左右に液体を触れさせれば、水分子が左右に行ったり来たりします

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しかし比較的粒の大きな溶質は半透膜を通過できません。すると溶液側からは一定確率で水の代わりに溶質が半透膜にぶつかり、溶媒から純水へ移動する水分子の数が減ってしまいます。その結果、溶媒側に流れこむ水の方が多くなり、水面の高さに差が出てきます

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これが浸透という現象です。

浸透圧の定義

そのような現象が起こるなら、どのくらいの勢いで水が流れ込んでくるのかが気になります。そんな浸透の勢い・圧力を示すものが「浸透圧」です。

ただし、浸透の勢いを直接測るのは難しいので以下のように間接的に考えてみます。放置すれば水が流れ込んできますが、溶媒側に圧力を加えることで浸透の圧力とつり合って押さえ込むことができます。このように、水面の高さが変化しないように=浸透の圧力とつりあうように外から加える圧力のことを浸透圧と定義します。これなら浸透の圧力を表していそうですね。

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ファントホッフの法則

浸透圧の大きさは、溶液の体積、溶質の物質量、気体定数、絶対温度を使って以下のように表せます。

もしくはモル濃度を使えば以下です。

この浸透圧の大きさを表す関係式を「ファントホッフの法則」と言います。これは高校レベルでは証明できない式ですが、理想気体の状態方程式に似ていて覚えやすいので、公式として頭に入れておきましょう(*注1)。

補足

  • この辞書内では水溶液をメインに考えていますが、水以外の溶媒でも同じ現象が起こります。
  • (*注1)理想気体と溶液を見比べると、雰囲気だけは理解できるかもしれません。下図のように、体積の真空中に飛び回る[mol]の粒がぶつかって生じる圧力がであるのに対し、体積の水中に飛び回る[mol]の粒がぶつかって生じる圧力がです。こうみると確かに状況が似ていますね。 浸透圧_6.png

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