「科学技術の進歩により、生産・販売などの方式がより効率的に変化することで、経済発展が促される」という経済発展理論。
経済学者シュンペーターが提唱した概念であり、日本語では「技術革新」と称される。

※実際にはこの訳語は誤りであり、正確には「創造的破壊」「新結合」という(詳細は後述)。高校地理レベルでは「技術革新」程度の理解でよいが、筆者としては正確な理解に至ることを望みたい。
産業革命の本質は、蒸気機関の発明により、
である。
石炭と蒸気の力で動く機械は、人力・畜力とは比べ物にならないほど大きい力を発揮した。
たとえば、蒸気機関で動く力織機の発明により、人間の数倍の速度で布を織ることができるようになった。
このような生産性の向上により工業は発展し、急速な経済成長を引き起こした。
身近なコンピュータの登場も、イノベーションの一例と言える。
コンピュータの登場以前、計算をするには人間が手計算するしかなかった。「計算手」という職業もかつては存在したほどである。
ところが、コンピュータの登場により計算は圧倒的に高速・正確になり、さまざまな業務が効率化された。工場での原価計算、給与計算、シミュレーション精度の向上など、挙げればきりがない。
先に述べた説明は、イノベーションの正確な説明ではない。
イノベーションはもっと幅広い概念であり、技術革新はイノベーションの一部に過ぎない。
シュンペーターが初めてイノベーションの概念を提唱したのは著書『経済発展の理論』第2章「経済発展の根本現象」であり、イノベーションには以下の5類型があるとしている。
- 新製品
- 新生産方法(著者注:=技術革新)
- 新市場
- 新原料(新資源)
- 新組織
(岩波文庫による訳)
この5類型の「イノベーション」が起こることによって経済発展が起こる、と考えたのである。しかも、岩波文庫版ではイノベーションは「新結合」と訳されている。
ご覧のとおり、技術革新は5類型のうちのたった1つに過ぎない。
たとえば、Apple社によるスマホの開発はイノベーションの代表例として挙げられることがあるが、実はスマホに技術的新規性はなく、技術革新とはいえない。
スマホは、電話・音楽プレーヤー・カメラ・GPSなどを一つの端末に統合し、タッチパネルによって操作し、さまざまなサードパーティアプリによって機能を追加できる、という点が新しかったのであり、様々な技術を結びつけた、新しい商品であったことが、スマホがイノベーションたる所以なのである。
紙幅の都合上、5類型についてのこれ以上の詳細な説明は割愛するが、シュンペーターのいう「イノベーション」とは単なる「技術革新」ではない、ということだけ覚えていただければ結構である。
詳しく知りたい方はシュンペーター『経済発展の理論』を読まれるとよい。岩波文庫から出版されている。
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