平家物語の和歌で古典力アップ!「巻五」
平家物語の和歌で古典力アップ!
『源氏物語』はなんとなく知っているけれど、『平家物語』はさっぱりわからないのでは?
源氏と平氏は、源平合戦で対立するものという認識があるでしょうか?
『平家物語』は軍記物語呼ばれ、合戦を描いています。
『源氏物語』とは一味違う世界をしてみてはいかが?
このサイトは、『平家物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『平家物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『平家物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
28 百年を 四かへりまでに 過ぎ来にし おたぎの里の 荒れや果てなん
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[現代語訳]
百年を四度までも繰り返すほどの長き年月、都として過ぎて来た、この山城の乙城の里が、このまま荒れ果ててしまうのであろうか
by林望『謹訳平家物語』
29 開き出づる 花の都を ふり捨てて 風ふく原の 末ぞあやふき
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[現代語訳]
咲く花のごとく盛りを極めたこの京の都を振り捨てて、風ばかりが吹く福原の新都の行く末は、さてさて危ういものよ
by林望『謹訳平家物語』
30 待つ宵の ふけゆく鐘の 声聞けば 帰る朝の 鳥はものかは
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[現代語訳]
愛しい人を待っている夜も更け、とうとう夜が明けてゆく鐘の声を聞いてしまった、そのときの悲しさを思えば、逢うた人が帰っていく暁の鳥の声など物の数でもございませぬ
by林望『謹訳平家物語』
31 ものかはと 君が言ひけん 鳥の音の 今朝しもなどか 悲しかるらん
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[現代語訳]
「ものかは(物の数ではない)」とあなたが言われた、別れの鳥の声ですが、今朝ばかりは、どういうわけであんなに悲しく聞こえるのでございましょうか
by林望『謹訳平家物語』
32 待たばこそ ふけゆく鐘も つらからめ あかぬ別れの 鳥の音ぞうき
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[現代語訳]
恋しい人を待っておりますればこそ、その更けてゆく鐘の声もしみじみと聞くのでございますが、そうでなければ、こうして飽かぬまま別れてゆく暁の鳥の声のほうが辛いことでございます
by林望『謹訳平家物語』
33 あづま路の 草ばを分けん 袖よりも たたぬ袂の 露ぞこぼるる
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[現代語訳]
東のほうへと旅立ってゆくあなたが、草葉の露を分けてゆくその袖よりも、こうしてどこへも発ってゆかぬ私の袂のほうが、涙の露がこぼれるほどに濡れております
by林望『謹訳平家物語』
34 別れ路を 何かなげかん 越えてゆく 関も昔の あとと思へば
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[現代語訳]
わかれ路を、なんで嘆くことがありましょう。これから越えて行く関も、昔わが先祖が賊軍に誘った戦の出陣の古跡だと思いますほどに
by林望『謹訳平家物語』
35 ひらやなる 宗盛いかに 騒ぐらん 柱と頼む 亮を落として
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[現代語訳]
平家の横守…平家の宗盛は、どんなにあわてふためいていることであろうか、支柱(すけ)として頼みにしている権亮(ごんのすけ)を落としてしまって…
by林望『謹訳平家物語』
36 富士川の 瀬々の岩こす 水よりも 早くも落つる 伊勢へいじかな
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[現代語訳]
富士川の急流の岩を越えて流れ下る水よりも速く流れ落ちていく瓶子(へいじ)があると思ったら、なんじゃあれは伊勢平氏(へいじ)であったよな
by林望『謹訳平家物語』
37 富士川に 鎧は捨てつ 墨染めの 衣ただきよ 後の世のため
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[現代語訳]
富士川に鎧は捨ててしまった・・・・この上はもう墨染の衣をばただ着よ、忠満さんよ、後世願いのため
by林望『謹訳平家物語』
38 忠清は 逃げの馬にぞ 乗りてける 上総しりがひ かけてかひなし
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[現代語訳]
忠清は、二毛(心げ、白黒混じり毛の)の馬に乗っておったぞよ、上総名産の立派な歌(しりがい)を掛けたけれど、なんの甲斐もなかったなあ
by林望『謹訳平家物語』