伊勢物語 〜月やあらぬ〜
伊勢物語 〜月やあらぬ〜 深掘り解説
ここでは、伊勢物語 〜月やあらぬ〜 について、あらすじをサクッとビジュアルで理解していこう。
恋の深まりを邪魔するものとは
むかし、ひんがしの五条に、大后の宮おはしましける、西の対に住む人ありけり。
それをほいにはあらで、こころざし深かりける人、ゆきとぶらひけるを、正月の十日ばかりのほどに、ほかにかくれにけり。
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「ほいにはあらで」は、不本意でという意味。
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「かくれる」は、主語が 女で、他の場所に移ったという意味。
《なぜ不本意なのだろうか》
→嫌いなのかな?
ありどころは聞けど、人のいき通ふべき所にもあらざりければ、なほうしと思ひつつなむありける。
- 女の居場所は聞き、行きはしないけれども女を慕い続ける男の描写。
《不本意》なのに慕い続けるの??
→嫌いではなさそう?
またの年の睦月に梅の花ざかりに、去年を恋ひていきて、立ちて見、ゐて見、見れど、去年に似るべくもあらず。
うち泣て、あばらなる板敷に、月のかたぶくまでふせてりて、去年を思ひいでてよめる。
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身は一つもとの身にして
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これは、男から女への和歌。
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内容は、《月は昔のままでない、春も昔の春ではない、私だけが去年と同じで、他は変わってしまったよ》って感じ。
とよみて、夜のほのぼのと明くるに、泣く泣くかへりにけり。
- 「泣く泣く」ということは、女を慕う気持ちからきているのだろう!
《不本意》について解釈は定説はない。
ただしこの話と在原業平・二条后というモデルから推測することは可能!
藤原氏の策略で二条后は皇室との関係を深めるために利用されている。
それを「ほいにはあらで」と不本意に感じているのだ!
だから、不本意ながら愛してきたというのは、藤原氏の策謀には不本意だけれども恋慕ってしまった女と理解できるね。