源氏物語の和歌で古典力アップ!「総角③」
源氏物語の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
このサイトは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『源氏物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
673 眺むるは 同じ雲居を いかなれば おぼつかなさを 添ふる時雨ぞ
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[現代語訳]
ぼんやりと思いに耽りながら見上げるあの雲のかかる空は、いつもと同じなのに、どうして今日に限っては、そなたが気掛かりで逢いたくて、こうして袖に涙の時雨がかかるの であろうか…
by林望『謹訳源氏物語』
674 霰降る 深山の里は 朝夕に 眺むる空も かきくらしつつ
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[現代語訳]
時雨どころか、霞がふっておりますとの山奥の里では、朝夕に物思(ながめ)つつ眺(なか)めている空も、真っ暗に垂れ込めております
by林望『謹訳源氏物語』
675 霜さゆる 汀の千鳥 うちわびて 鳴く音悲しき 朝ぼらけかな
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[現代語訳]
霜がしんと河えわたっている岸辺の千鳥も、この寒さ寂しさを辛がって鳴く、…その声に紛れて不軽僧の唱えごとが悲しく聞こえてくる…白々明けの時分でごさいますね
by林望『謹訳源氏物語』
676 暁の 霜うち払ひ 鳴く千鳥 もの思ふ人の 心をや知る
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[現代語訳]
暁に、羽についた霜を打ち払うようにして鳴く千鳥は、こうして物思いにくれる私の心を知っているのでしょうか
by林望『謹訳源氏物語』
677 かき曇り 日かげも見えぬ 奥山に 心をくらす ころにもあるかな
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[現代語訳]
こうしてすっかり曇って日の光も見えぬ山奥の里に、日ばかりか、心も暗くしてしまっているこの日々よ
by林望『謹訳源氏物語』
678 くれなゐに 落つる涙も かひなきは 形見の色を 染めぬなりけり
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[現代語訳]
紅の色に染まって落ちる血の涙が袖を濡らしたとて、なんの甲斐もない。私は、亡き人を悼む服喪の鈍色に袖を染めることなどできぬのだから…
by林望『謹訳源氏物語』
679 おくれじと 空ゆく月を 慕ふかな つひに住むべき この世ならねば
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[現代語訳]
自分も近(ゆ)き後れまいと、空を行(ゆ)い月を慕うことよ、ああして月は澄(す)むけれど、私はいつまでもとの世に住(す)むことはできぬゆえに
by林望『謹訳源氏物語』
680 恋ひわびて 死ぬる薬の ゆかしきに 雪の山にや 跡を消なまし
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[現代語訳]
恋の叶わなかったことを悲観して、もう死んでしまおうと思うゆえ、死ぬ薬を求めて、あの天竺の雪山にでも、行方をくらましてしまいたい
by林望『謹訳源氏物語』
681 来し方を 思ひ出づるも はかなきを 行く末かけて なに頼むらむ
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[現代語訳]
過ぎてきた過去を思い出すだけでも、あれほど当てにならないことであったのに、これから先にかけて、なにをどう頼みにしたらいいのでしょう
by林望『謹訳源氏物語』
682 行く末を 短きものと 思ひなば 目の前にだに 背かざらなむ
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[現代語訳]
もしこれより行く末の命を短いものとお思いなら、せめては、今目の前の私の言葉に背かないでほしいのだが…
by林望『謹訳源氏物語』
「総角」の巻について
薫:24〜25歳の頃の話
あらすじ:宇治を訪れた薫が大君に迫るが、夜が明け、大君は独身を貫く。そこで薫は中君と匂宮を結婚させようと策略を図った。しかし大君は病気が悪化し、薫は看病にあたる。
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」