源氏物語の和歌で古典力アップ!「若紫②」
源氏物語の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
このサイトは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』が読んだ気になれるような感覚を持つために作成しました。
【このサイトを特におすすめする人】
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受験生で古典単語が全然わからない人
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受験生で和歌が全然わからない人
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『源氏物語』を軽〜く知りたい人
では、早速学びスタート!
56面影は 身をも離れず 山桜 心の限り とめて来しかど
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[現代語訳]
あの面影が私の体を離れずにいます、あの美しい山桜の面影が…心は、すべてそちらに置いて来てしまったのですが
by林望『謹訳源氏物語』
57嵐吹く 尾の上の桜 散らぬ間を 心とめける ほどのはかなさ
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[現代語訳]
山の上の桜にお心を留められたとのことでございますが、こんなに嵐の吹いております山の上の桜など、まもなく散ってしまいますのに、そのわずかな時の間にお心を留められたとは、まるではかなく散る花のように、なんという当てにならないお気持ちでございましょうか
by林望『謹訳源氏物語』
58あさか山 浅くも人を 思はぬに など山の井の かけ離るらむ
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[現代語訳]
あさか山の…あさくあなたを思っているわけではありません。それなのに、あなたはどうして、山の井に映るかげの…かけ離れた心しか持ってくださらないのですか」
by林望『謹訳源氏物語』
59汲み初めて くやしと聞きし 山の井の 浅きながらや 影を見るべき
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[現代語訳]
初めて汲んでみて、しまったと後悔したと聞くあの浅い山の井、そのように浅いお心のまま、姫の影を見ることができますものか
by林望『謹訳源氏物語』
60見てもまた 逢ふ夜まれなる 夢のうちに やがて紛るる 我が身ともがな
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[現代語訳]
こうしてお目にかかっても、また再び逢うことなど稀なのですから、せめてはこの夢のような逢瀬のうちに紛れて消えてしまいたい我が身でございます
by林望『謹訳源氏物語』
61世語りに 人や伝へむ たぐひなく 憂き身を覚めぬ 夢になしても
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[現代語訳]
この逢瀬は、めずらしい物語として人は後の世にも語り伝えることでしょう。だれよりも辛い我が身、いっそ死んでしまってこのまま醒めない夢にしてしまいましてもね
by林望『謹訳源氏物語』
62いはけなき 鶴の一声 聞きしより 葦間になづむ 舟ぞえならぬ
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[現代語訳]
まだ幼げな鶴の一声を聞きましてから、葦の間を行き過ぎがたく漂っております舟は、言うに言われぬ物思いをいたしております
by林望『謹訳源氏物語』
63手に摘みて いつしかも見む 紫の 根にかよひける 野辺の若草
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[現代語訳]
この手に摘んで、いつかは親しく相見たいと思うのは、あの紫色の藤…の御方の根のちかくに萌え出ずる野辺の若草なのですよ
by林望『謹訳源氏物語』
64あしわかの 浦にみるめは かたくとも こは立ちながら かへる波かは
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[現代語訳]
あの若い葦の生えている浜辺にあるという海松ではないけれど、直接に逢い見ることは難しいとしても、それでも、あの立っている波のように、私は立ったまま空しく帰ることがありましょうか、いえ、決して…
by林望『謹訳源氏物語』
65寄る波の 心も知らで わかの浦に 玉藻なびかむ ほどぞ浮きたる
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[現代語訳]
そう仰せになりましても、寄せ来る波のようなお方の心も知らぬままに、若い姫君さまが、和歌浦に玉藻が贈いているように、ふらふらと靡いては、いかにも頼りないことでございます
by林望『謹訳源氏物語』
66朝ぼらけ 霧立つ空の まよひにも 行き過ぎがたき 妹が門かな
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[現代語訳]
この白々明けに、霧が立って空の様子も怪しいようだから、このまま行き過ぎにくいぞ、お前の家の門を
by林望『謹訳源氏物語』
67立ちとまり 霧のまがきの 過ぎうくは 草のとざしに さはりしもせじ
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[現代語訳]
そうしてそこにお立ち止まりになって、この霧の立ちこめる離のあたりを通り過ぎにくいと仰せなら、どうぞ遠慮なくお入りください。こんな草が茂っているとて門口を通るのに差し障りともなりますまいに
by林望『謹訳源氏物語』
68ねは見ねど あはれとぞ思ふ 武蔵野の 露分けわぶる 草のゆかりを
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[現代語訳]
その根は見たことがない…まだ寝たことはないけれど、ああ良いなあと思うのだ、あの武蔵野の露を分けて行きなずんでいる、その紫の草のゆかりの方を
by林望『謹訳源氏物語』
69かこつべき ゆゑを知らねば おぼつかな いかなる草の ゆかりなるらむ
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[現代語訳]
恨まなくてはいられない理由がわからないので、そのゆかりとやらが、何の草のゆかりなのか、さっぱりわけがわかりません
by林望『謹訳源氏物語』
「若紫」の巻について
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
光源氏:18歳の頃の話
あらすじ:光源氏は病気の治療で北山を訪れ、そこで藤壺に似た女性を見つけ、恋に落ちる。その女性は藤壺の姪であった。逢瀬を繰り返し、子を宿ったことで、罪の重さを知り、自邸へと連れてきた。女性の名を紫の上という。