有理数解の定理
概要
因数分解などにすごく役に立つ 「有理数解の定理」 をマスターしよう。証明にも整数問題の考え方が詰まっているので、合わせておさえておこう。
まず内容は、整数係数の
を考えたとき、この方程式の有理数解は、
の形で必ず表される (負の約数も考える)。
ただし、ここで考えているのは
に分解されるので、ここでは
大事なのは、有理数解を持つとすると、その可能性はだいぶ絞られるということで、上で表される
また、分母と分子がよくこんがらがるので、下の証明は自分で再現できるようにしておこう。
使い方
因数定理を使った因数分解のときに、代入する値の候補探しにとても使える。
【例】
【答】因数定理を使うために、代入して0になるような値を見つけたいが、直感ではなかなか見つからない。
そこで、上の有理数解の定理を考えると、
が有理数解を持つならば、その解は
の形になっているはずであり、つまり
の8個に候補が絞られる。この中で、
を得るので、因数定理から、
よって、因数分解すると
となる。
このように、因数定理を使って因数分解する際に、何を代入したらいいか、その候補を絞り込めるのでとても役に立つ。
証明
整数係数の
が有理数解
を持つとする。ただし、
このとき、元の方程式に代入して、
両辺に
これを変形すると、
ここで、
※整数問題で頻出の「積の形を作り出す」という考え方が活躍する!