合計特殊出生率
簡単なまとめ
女性一人が一生に産む子の数。
おおまかに、約2.1を超えると人口増加、下回ると人口減少となる。
所得が増えると合計特殊出生率は低下する。
最貧国だと6を超える国もある。逆に先進国だと1を切る場合もある。
先進国の中では、
- アメリカ、イギリス、フランス、北欧諸国→1.6~1.9程度
- 日本、イタリア、ドイツ→~1.5程度
となっている。
主要各国の数値
世界的な傾向
経済発展に伴い、合計特殊出生率は低下する。
先進国は2を切る。最貧国は4~6台。
東アジアやアジアNIEsは世界的にも極めて低い。韓国は世界最低の0.84。
また、旧ソ連も経済発展の割に出生率が低い。
先進国
(2020年、データブック・オブ・ザ・ワールドより)
傾向として、
北欧諸国・フランス > イギリス・アメリカ > ドイツ・イタリア・日本
といった感じ。
しかし、ここ数年北欧諸国の合計特殊出生率が急落している。
途上国
(2020年、データブック・オブ・ザ・ワールドより)
経済発展の遅れたサハラ以南アフリカで特に高い。
一方で、途上国とはいっても、最貧国以外では合計特殊出生率は2程度になっている。
世界の合計特殊出生率は意外と下がっていることを覚えておこう。
日本の合計特殊出生率の変遷
日本の合計特殊出生率は、戦後ずっと右肩下がりです。
戦後のベビーブームで4を超えてから、70年代前半までは2以上を保っていましたが、それ以降も回復することなく下がり続けています。
1966年の一時的な出生数・合計特殊出生率の低下は、丙午(ひのえうま)の年に生まれた女性は気性が激しいという迷信によって起きた産み控えによるものです。
なお、2000年代後半以降、合計特殊出生率は微増に転じていますが、これは分母である女性の数が減っていることによるもので、社会の大きな変化があったわけではありません。現に、2010年代後半以降は再び減少に転じています。
補足~人口置換水準
合計特殊出生率は、「一人の女性が、一生の間に何人の子供を産むか?」を表す数値です。
両親二人から子供が生まれるわけですから、男女一組が子供を2人産んでやっと人数が保たれます。
それ以外にも、病気、災害、事故、戦乱等で子供を作る前に亡くなる方もいらっしゃいますから、2人よりももう少し多く産まないと、実際には人口が減少してしまいます。
ですから、人口を維持するためには、合計特殊出生率が2+α 必要なわけです。この、人口が保たれる合計特殊出生率の数値を人口置換水準といいます。
2人+α の +α がどれくらいなのかは国によって違うんですが、先進国だとみんな健康であんまり死なないのでだいたい0.08くらい。
ですから、だいたい2.1が人口置換水準といえるわけです。