日本文学史マスターへの道「俳諧」
日本文学史マスターへの道
俳諧
寺田寅彦『俳諧の本質的概論』を読んで教養を深めても良いね。
《確認ポイント》
✔︎連歌から俳諧の流れ ✔︎俳風の種類 ✔︎俳風ごとの特徴
《俳諧の成立》
宗祗が確立した有心連歌が、宗祗の死後、急速に衰退したことによって、俳諧連歌として成立し、俳諧はスタートする。 つまり、連歌があって、そこから派生する形で俳諧は生まれた。 大まかな(完全に正確ではない)ではあるけれど、 和歌→連歌→俳諧という流れで覚えよう!
《俳風の種類と特徴》
【俳諧連歌】
宗祗の死により、有心連歌が衰退し、気楽で余興を重視した俳諧連歌が生まれた。 俳諧の祖である。 連歌よりも規則が緩く、庶民的である。 〈代表歌人と作品〉
- 山崎宗鑑『犬筑波集』
- 荒木田守武『守武千句』
【貞門】
連歌の規則を緩め、俳諧としての様式を整備させた派閥で、松永貞徳により、貞門。 俳諧に、俗語や漢語を用いることが可能となる。 掛詞や縁語が多用される。 形式が重視される。 〈代表歌人と作品〉
- 松永貞徳『御傘』
- 松江重頼『犬子集』
- 北村季吟『山の井』
【談林】
貞門で単調となったものを、新たな風を吹き込み、奇抜さを求め、矢数徘徊(創作数を競うもの)を行なった。 しかし、徘徊堕落の原因にもなる。 題材が奇抜で、比喩や破調を多用。 言語遊戯に近い。 〈代表歌人と作品〉
- 西山宗因
- 井原西鶴
『談林十百韻』(談林を代表する俳諧連句集)
【蕉風】
「わび・さび」「不易流行」などの理念を掲げ、言語遊戯の俳諧を芸術として完成させた一派で、松尾芭蕉が中心。 〈代表歌人と作品〉
- 松尾芭蕉『奥の細道』『猿蓑』
- 向井去来『去来抄』
服部土芳『三冊子』
【天明期俳諧】
松尾芭蕉の死後、蕉風の復活を目指す運動が起こった時期にあたる。 古典教養を基盤とし、浪漫的で感覚的である。 〈代表歌人と作品〉
- 与謝蕪村『夜半楽』『新花摘』
- 横井也有『鶉衣』
【化政期俳諧(幕末俳諧)】
俳諧人気が上昇する中で、低俗化も進行した時期で、月並俳諧(毎月一般募集により点数付けを行い、景品などを与えるもの)が流行し、大衆化が進んだ。 単調で変わり映えのない時期であるが、小林一茶はその中で異彩を放つ。 〈代表歌人と作品〉
- 小林一茶『おらが春』