褐色森林土
褐色森林土
温帯にみられる、褐色で弱酸性の土壌です。
特徴
- 腐植(主に落葉)層が厚い
- 褐色
- 弱酸性
- 肥沃
このような特徴から、褐色森林土は黒土ほどではないにしろ農業に適しており、古来より多くの人々の生活を支えてきました。
ブナなどの落葉広葉樹林で特に発達し、常緑広葉樹林地域では腐植層が薄くなります。
地域
温帯地域に広くみられ、日本、中国東北部、西~中央ヨーロッパ、アメリカ合衆国北東部に広く分布します。
温帯の中でも比較的涼しそうなところ、いわゆるザ・温帯みたいなところに分布していると思ってもらえればだいたい合ってます。
本当はちょっと違うのですが、高校地理の範囲内であれば
温帯=褐色森林土
だと思ってもらっていいです。
成因
森林では必ず落葉があります。そして、温帯のなかでも冷涼な地域ではもっとすごい落葉があります。
沖縄や九州、中国・四国地方など、西日本の温暖な地域にお住まいの方はあまりピンとこないでしょうが(高校生の私もそうでした)、東北など冬寒くなる地域では秋に紅葉がみられ、冬は山から緑が消えます。わずかに針葉樹が葉を残すのみで、あとは裸の木ばかりになってしまうのです。
森林の木々がほとんど葉を落としてしまうのですから、その落ち葉の量はすさまじいものになります。それが毎年繰り返されるのですから、腐植のもとになる落葉が大量に供給されているわけです。
それが積もれば、黒土を超える超肥沃な土壌ができていてもおかしくありません。それでも黒土ほど肥沃にならないのは、雨が降るからです。温帯ですから降水量が多く、雨が降って養分を押し流してしまうのです。
と同時に、降水によって土中の鉱物が溶脱され酸化鉄などの金属成分の濃度も高くなりますので、真っ黒よりは少し赤みを帯びた色になります。これが、土が真っ黒ではなく少し褐色になる原因です。
余談
「温帯=褐色森林土」でいい、と言いましたが実際はそんなことはなく、温帯でも温暖な地域では黄色土などと呼ばれる別種の土壌が形成されているのですが、高校地理ではそこまで細かい土壌の区分をしないので褐色森林土と言っているだけです。
温暖な地域で褐色森林土にならない理由は簡単で、落葉の供給が少ないからです。
温帯の中でも温暖な地域は、常緑広葉樹林が広がっており冬季の落葉があまりみられません。そのため、冷涼な地域よりも落葉の供給が少なく、したがって腐植層も薄くなってしまうのです