ラトソル
ラトソル
ラトソルは、
熱帯の湿潤地域に分布する赤色のやせた土壌
です。太字のところは全部大事なのでしっかり叩き込んでください。
特徴
ラトソルの大きな特徴は、
- 赤色をしている
- やせている
- 金属成分(酸化鉄・酸化アルミニウム)に富む
の三つにあるでしょう。そのため農業には向かず、耕作のためには焼畑や水田耕作などの方法が必要です。
地域
これは非常に単純で、熱帯です。
「熱帯=ラトソル」で十分です。
成因
冒頭で、ラトソルは「熱帯の湿潤地域に分布する」と申し上げました。ラトソルの成因はこの二点にあります。
まず、熱帯であるという点について。熱帯では気温が高いので、微生物の活動が活発です。そのため、落ち葉がすぐに微生物によって完全に分解されてしまい、腐植が残りません。(虫に食べられてしまうというのもあります)
そして重要なのが、湿潤地域であるということ。特に熱帯雨林気候地域では。非常に強く激しい雨が降るため土壌の養分が流されてしまうのです。
土壌の養分(=腐植)が雨で流されてしまうと、後に残るのは岩石が砕かれたもの、ということになりますね。
ここで関係するのは岩石の化学的風化です。化学的風化とは、岩石が水や空気と触れることによって化学反応を起こし、崩壊していくことでしたね。
熱帯地域では降水量が多く、気温も高いため、化学反応が活発に進み化学的風化が急速に進行します。
岩石中に含まれる鉱物は雨水にだんだん溶けていくのですが、鉱物の種類によって溶けやすさが違います。溶けやすい順に並べるとこうなります。
Cl・SO4 > Na・Mg・Ca > K > Si > Fe・Al
そうです。鉄やアルミニウムは最も溶けにくいのです。
したがって、熱帯のように化学的風化が活発に進む地域では、ケイ素やカルシウムなど、溶けやすい鉱物がどんどん溶けだして抜けていき、最も溶脱しにくい鉄やアルミニウムだけが残るのです。
そのため、ラトソルは酸化鉄・酸化アルミニウムに富む土壌であり、ボーキサイト鉱床になる地域もあります。ラトソルが赤色なのも、この酸化鉄の色ですね。酸化鉄というのはつまり赤錆のことですから、土が錆の色をしているということです。
環境問題との関連
近年熱帯地域で大きな環境問題となっているものに熱帯林の減少があります。いろいろな理由が語られますが、実は大きな原因の一つに、ラトソルの特性が深く関わっているのです。
ラトソルという土は、直射日光に当てると固まり、レンガのようになるという性質があります。実際にインドではラトソルは日干しレンガの原料として用いられていますし、そもそも「ラトソル」という名前自体がラテン語で「煉瓦」という意味であるLaterに由来しているのです。
さてそんなラトソルですが、普段は土の上には樹木がびっしりと生え、地面にはほとんど光が届かないため特に問題ありません(余談ですが、熱帯雨林の樹木密度は半端ではなく、熱帯雨林の地面近くは昼夜の区別がつかないほど暗くなっています)。
ところが、熱帯雨林を伐採するとどうでしょうか。わずかながら積もっていた落ち葉や腐植はあっという間にスコールで流されてしまいます。後に残った、カラカラの赤土。日が昇れば熱帯の強烈な太陽に灼かれ、さながら日干しレンガの製造現場のようです。
そう、雨で表土が流され、直射日光に晒されたラトソルは、そのまま巨大な日干しレンガの塊になってしまうのです。(ちょっと盛ったけど、、)これを俗にラテライト化と言ったりします。
当然、日干しレンガに植物など生えてくるはずがありません。そう、熱帯林は、いったん伐採してしまうと再生が極めて困難なのです。
これ、テストに出ます。覚えておきましょう。
Q. 熱帯林を一度伐採すると再生が困難なのはなぜか? A. 激しい降雨によって表土が流出するうえ、直射日光に晒された表土が硬化し、植物の生育が困難になる。