透析
概要
「透析」とは、不純物が混ざったコロイド溶液の純度をあげる操作のこと。半透膜の袋に不純物入りのコロイド溶液を入れて純水につけることで、不純物が半透膜を通り抜けて拡散しコロイド溶液の純度が上がります。粒の大きいコロイド粒子だけをザルで濾す(こす)イメージですね。
詳細
透析の仕組み
半透膜の袋に不純物入りのコロイド溶液を入れて純水につけます。するとコロイド粒子は袋の中に閉じ込められますが、水とイオンは袋を通過して自由に拡散することができます(*注1)。つまり十分時間が経てば不純物が全体に広がるわけです。
あとは不純物が溶け込んできた水を新しい純水に取り替えてこの操作を繰り返せば、どんどんコロイド溶液の純度が上がっていきます。
応用
腎臓は、血液中の不純物を取り除く働きがあります。不純物を取り除くと言っても、必要な血液の成分やタンパク質まで捨てるわけにはいきません。そこで、腎臓内の「ネフロン」の中にある「糸球体」という部分で、透析と同じ仕組みで不純物が排出されています。
ちなみに、このとき不純物と一緒に必要な水やナトリウムも排出されますが、尿細管の中で再吸収されて不純物が濃縮されます。生物選択の人は生物基礎で勉強しましたね。
そして腎臓の働きが弱まってしまったときに、血液を取り出して人工的に不純物を取り出すのが「人工透析」です。腎臓は働きが弱まると移植する以外に復活することはなく、1回4〜5時間・週2〜3回の人工透析が必須になってしまいます。そしてそんな人工透析が必要になる原因の第1位が糖尿病です。糖尿病は初期の自覚症状が全くないことが多く、気付いたら手遅れになることも多い現代病です。大学生になると一人暮らしが始まったり、運動系の部活をやめて運動する機会が減ったりする人も多いですが、食生活の乱れや運動不足には気を付けておきましょう。
補足
- (*注1)袋内の方が濃度が高いので、浸透圧により袋内に入り込む水の方が少し多いかもしれません。しかし、水やイオンが行き来した結果、イオンがビーカー全体に拡散することに変わりはありません。