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係数比較


概要

「この等式が恒等式になるような、定数 を求めよ」 みたいな問題を、どこかで見たことがあるはず。

この考え方として、代表的なものに、

の2つがある。ここでは1つ目の係数比較法について学ぶ。これは、整式の等式が恒等式であるための必要十分条件が、「同じ次数の項の係数が一致すること」 であることを利用する方法。

日本語で聞いてもわからないと思うので、早速例で確認しよう。

【問】

についての恒等式となるような、定数 の値を求めよ。

【解】

左辺を整理すると、等式は

となる。この等式が恒等式となるための必要十分条件は、係数が全て等しいことであり、

を得る。これらを連立して解けば、

となり、これが求める条件である。

証明(発展)

この係数比較法は直感的に理解しやすいので、ファンが多いが、「ほんとに必要十分条件なの?」ということを考えると、結構難しい。

係数が全て等しければ、どんな値を代入しても等式が成り立つはずなので、恒等式となることは理解できる。(つまり、係数が等しいことが十分条件であることはすぐわかる)

でも逆に、恒等式であれば必ず係数が等しくなることは、どうやって示せばいいのだろうか?

気になる方は以下読んでみよう。気にならない方は、下の補足を読んで、そっとこの辞書を閉じてOK。

【示すこと】

が恒等式ならば、 であること を示す。

※ 恒等式の両辺を片方に寄せて、その係数が全て であれば元の両辺の係数が全て等しい事になるので、 を示せばOK。

【証明】

背理法で示す。

となるような の中に存在するとする。このような のうち、最も大きいものを とする。

このとき、等式は

と表される。

(i) のとき

等式

となるが、 なので、この式を満たす は存在せず、 が恒等式であるという前提に矛盾する。

(ii) のとき

であることにより 次方程式となるので、等式を満たす は高々 個しか存在しない。よって、 が恒等式である、つまり無限個の について成り立つという前提に矛盾する。

以上 (i)(ii)より、 となるような の中に存在するという背理法の仮定は誤りであり、 は示された。■

動画でわかりやすく学びたい方は、こちらの古賀真輝さんの授業動画を見てみよう。係数比較法が成り立たない世界も知ることができて、とても面白いです!

補足

上の例題を 数値代入法 で解いてみる。

等式の両辺に を代入すると(代入して計算が楽そうな値を選んでいる!)、

となるので、これを変形して

を得る。

これらを等式の左辺に代入すると、左辺は となるので、確かに等式は恒等式となる。よって上記の解は必要十分条件となる。(この十分性の確認についての詳しい話は、数値代入法の辞書を見てみてほしい)

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