【和歌篇】日本文学史マスターへの道⑤『金葉和歌集』
第5代『金葉和歌集』
《成立時期》
- 天治元年(1124)年初奏
- 天治2年(1125)年再奏
- 大治元年(1126)年三奏
《宣下者》
- 白河上皇
《撰者》
- 源俊頼
《序》
あり
《編集プロセス》
白河上皇の院宣により源俊頼は天治元年に撰集を終え、初度本草稿を提出するも巻頭に紀貫之の歌があり全体としても3代集時代の歌が多く新鮮味がないという点から返却される。
この初度本は巻1〜5の上巻のみが現存する唯一の伝本であり全体像は不明。
翌年、2度目の集を奏覧するも三代集歌人を減らしたものの当代歌人が多く再度返却された。これを二奏本という。
翌年、能因法師が撰集した『玄玄集』から歌を加え、三代集歌人を復活させ、伝統的態度で古と新の調和を測った三奏本を奏上した。
三奏本は白河法皇から待賢門院璋氏に移り秘蔵とされ、世間への流布は江戸の天保期であったため、現在も伝本が少なく、2度本が金葉集の代表的本文である。
《系統別》
- 初奏本上巻のみ:470首、補写8首の478首
- 二奏本:新編国歌大観665首、異本歌52首の717首
- 三奏本:650首
《部立》
- 四季(春・夏・秋・冬)
- 賀
- 別離
- 恋(上・下)
- 雑(上・下)
*10巻本
《代表歌人》
- 源俊頼36首
- 源経信27首
- 藤原公実25首
- 藤原顕季20首
- 藤原忠通16首
- 藤原長実16首
- 藤原顕輔14首
- 紀貫之13首
- 皇后宮肥後9首
- 和泉式部8首
- 相模7首
- 中務6首
経信・俊頼親子や顕季・顕輔親子が中心歌人である。
前代歌人中心。
《主題や配列》
〈春の題〉
立春・霞・鶯・梅・子日・柳
伝統的な季題の移り変わりで構成され、
桜を中心として、春田・山吹・藤と続く。
〈夏の題〉
更衣・残花・青葉・卯花・時鳥・あやめ・五月雨
伝統的な季題の移り変わりで構成される。
〈秋の題〉
立秋・七夕・女郎花・田家の秋・秋月
秋月は47首と特筆している。
〈冬の題〉
時雨・竹・鹿・紅葉・網代・冬月・千鳥・氷・初雪
四季歌が自然を対象に生まれているが、描かれた自然を詠むように変わっているということ。