日本文学史マスターへの道②『日本書紀』
日本文学史マスターへの道
『日本書紀』
〔舎人親王像模本 巻第十の写本(田中本)奈良国立博物館蔵。国宝。平安時代・9世紀現存最古写本。画像は現存第1紙(応神天皇紀)〕
とっつきにくいという人におすすめは、わかる日本書紀シリーズ、がおすすめ。
『古事記』のようなサイトはないから本屋で見てみよう!
《確認ポイント》
✔︎「六国史」の最初
✔︎舎人親王らの共同編纂
✔︎対外意識の表れ
《書名》
『日本書紀』と言う書名は、
「日本」という国号がついている。
これは対外意識の表れでもある。
『日本紀』とも言われた。
《編者》
舎人親王(とねりしんのう)
〔舎人親王像模本〕
天武天皇の第3皇子である。
編纂は舎人親王だけではなく、
多くの学者の共同編纂と考えられており、
『古事記』編者の太安万侶の関与もあったらしい。
《成立過程》
720(養老4)年に舎人親王らが勅命によって編纂していた「日本紀三十巻系図一巻」が完成・献上したと『続日本紀』に記されている。
《構成》
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『日本書紀』は神代から持統天皇の記事が編年体(年代順に記述する形)で記述されている。
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三十巻あり、最初の二巻が神代についてである。
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系図一巻は現存していない。
★ 異伝
内容において『古事記』と決定的に違う点は、異伝の有無である。
『古事記』は文学的性格が強いこともあってか、一つの定説のような形で書かれている。
『日本書紀』は、「一書に曰く」という書き出しから始まる異伝があり、
現在でいう”諸説あり”の諸説を丁寧に記載している。
参考とされたものをあげると、
帝紀・旧辞・各氏族の記録・各地の物語・詔勅・官吏などの私的記録(日記)・寺社縁起・中国や朝鮮の史書がある。
→このことから、史書として強く意識されていたことがわかる。
◎ 表記
- 本文:漢文体
- 歌謡:万葉仮名(一字一音の表記)
《史的意義》
最初の勅撰歴史書である。
→律令国家の意識の高まりにより、対外威信をかけて編纂したことが読み取れる。特に中国を意識していたらしい。
◎ 六国史
- 『日本書紀』
- 『続日本紀』
- 『日本後紀』
- 『続日本後紀』
- 『日本文徳天皇実録』
- 『日本三代実録』
これら6つが勅命により編纂された正史であり、
六国史と呼ばれる。
表記は漢文体で、編年体になっている。
全て合わせると、神代〜光孝天皇までの記述となり、
古代史を網羅する。
六国史を知るには、国立古文書のサイトがおすすめ。
簡易的にまとめると以下のようなものである。
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720年『日本書紀』元正天皇の勅命 【記述:神代〜持統天皇】
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797年『続日本紀』桓武天皇の勅命 【記述:文武天皇〜桓武天皇】
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840年『日本後紀』仁明天皇の勅命 【記述:桓武天皇〜淳和天皇】
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869年『続日本後紀』清和天皇の勅命 【記述:仁明天皇】
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879年『日本文徳天皇実録』陽成天皇の勅命 【記述:文徳天皇】
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901年『日本三代実録』醍醐天皇の勅命 【記述:清和天皇〜光孝天皇】