源氏物語の和歌で古典力アップ!「須磨③」
源氏物語「須磨」の和歌で古典力アップ!
大河ドラマ「光る君へ」で人気沸騰中の『源氏物語』、皆さん全部読んだことありますか?
54帖とかな〜り長い物語なので、一部しか知らない人も多いのでは?
この解説シリーズでは、『源氏物語』に出てくる和歌だけに絞って、単語力の強化や『源氏物語』を読んだ気になれるような解説を行っています。
「須磨」の巻の概要について
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
光源氏:26~27歳の頃の話
あらすじ:源氏は、春までは都に滞在していたが、政界追放をなされ、須磨へ自主的に退去した。須磨は侘しさが募った場所であり、其の地で文通市都の女性を思った。都でも源氏のことを偲ぶ人も多く、琴や絵などをするうちに秋冬が過ぎていった。そこで奇妙な夢を見る。
では、早速和歌を通して単語を押さえていきましょう!
小説風の現代語訳は、全て林望『謹訳源氏物語』から引用しています。
松島の 海人の苫屋も いかならむ 須磨の浦人 しほたるるころ
- ****: [現代語訳] 松島の海士(あま)…松が浦島の尼(あま)の苦屋ではいかがお過ごしでしょうか。わたくしのほうは、須磨の浦人が潮を垂れるように、悲観して涙に濡れております
こりずまの 浦のみるめの ゆかしきを 塩焼く海人や いかが思はむ
- ****: [現代語訳] なお懲りずまに、この須磨の浦の海松布(みるめ)ではありませんが、あなたと再び逢い見る目があったらいいのにとは思いますが、それは塩を焼く海士のような世間の人々が、さてどう思うことでございましょうか
塩垂るる ことをやくにて 松島に 年ふる海人も 嘆きをぞつむ
- ****: [現代語訳] 塩水が垂れるように、泣くことを自分の役目(やいめ)と心得て、との松島に年を重ねてまいりました海士も、その塩強くためになげきという木を積み重ねております
浦にたく 海人だにつつむ 恋なれば くゆる煙よ 行く方ぞなき
- ****: [現代語訳] 須磨の浦に塩を焼く海士ですら人目をつつむ恋(とひ)という火でございますから、その火で燻らせる胸の煙を上げることもできず、思いをどこへやったらいいかわかりません
浦人の 潮くむ袖に 比べ見よ 波路へだつる 夜の衣を
- ****: [現代語訳] どうか、そちらの浦人が潮を汲んで濡れそぼっている袖と比べてみてください。遠い波路を隔てて泣いているわたくしの夜の衣の袖とどちらが濡れまさっているだろうかと
うきめかる 伊勢をの海人を 思ひやれ 藻塩垂るてふ 須磨の浦にて
- ****: [現代語訳] 浮海藻(うきめ)を刈る伊勢の海士のように、憂き目を見ておりますわたくしを思いやってください。そちらでも海士たちが藻塩から塩水を垂らしているように、あなたが涙を垂らしているという須磨の浦で
伊勢島や 潮干の潟に 漁りても いふかひなきは 我が身なりけり
- ****: [現代語訳] 伊勢の海の潮干の潟で漁っても、何の貝も疲れないように、何を言う甲斐もない我が身でございます
伊勢人の 波の上漕ぐ 小舟にも うきめは刈らで 乗らましものを
- ****: [現代語訳] 伊勢人のあなたが波の上を漕いでいく小舟で、浮海藻(うきめ)を刈らないで..憂き目を見るのでなくて、相共に乗っていけばよかった