日本文学史マスターへの道㉖
日本文学史マスターへの道
『十訓抄』
十訓抄 - 国書データベース - 国文学研究資料館 で実際の写本を見てみて!
《確認ポイント》
✔︎説話集
✔︎口承性が高い ✔︎世俗説話・仏教説話
《書名》
『十訓抄』
序文によると「試みに10段の編を分かちて十訓抄と名づく」とあり、それが由来とされる。
《作者》
六波羅二﨟左衛門入道か、
詳しくは未詳。
《成立過程》
序文によると、建長4(1252)年成立とされる。
《内容》
3巻本の10編構成での世俗説話集で、
「少年に勧善懲悪の古今の物語を集めた」と序文にあり、
教訓的かつ啓蒙的な意識が強い。
《構成》
各巻の冒頭に徳目と主旨があり、
具体的な説話がその後に並ぶ。
教訓形式になっており、
王朝貴族文化の懐古が見られる。
《史的意義》
多くの書籍からの引用が簡潔にまとめられ、
教訓書の先駆けとなる。
《『十訓抄』冒頭》
ある人いはく、人の君となれるものは、
拙き者なりとも嫌ふべからず。
文にいはく、「山は小さき壌をゆづらず。
このゆゑに高きことをなす。
海は細き流れをいとはず。
この故に深きことをなす」といへり。