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日本文学史マスターへの道⑪『源氏物語』


日本文学史マスターへの道

『源氏物語』

200016474_00001.jpg 〔日本古典籍データセットより、源氏物語〕

源氏物語は、みなさん名前を聞いたことはあるでしょう。

NHK大河ドラマ光る君へもやっていますね。

最近池袋のジュンク堂に行ったら、本棚が3台も『源氏物語』関連でした。

ここで紹介しなくとも、本屋に行けば必ずお気に入りの一冊が見つかるはずですね!

さて本題に入り、光源氏といえば、色好み、女好きというイメージを持つかもしれませんが、果たしてそうなのでしょうか?

全て読んでわかること、もあるかもしれませんね。

ただ、漫画などではかなり色好みな部分が目立ってしまう、そこがおもしろいと言う矛盾もあるかもしれませんが。

光源氏の真の姿を解明しましょう!

このページではいつも通り、日本文学史マスターへの道としてまじ〜めに雑学を学びましょう。

《確認ポイント》

✔︎紫式部の『源氏物語』

✔紫式部は中宮彰子に仕えた

✔︎54帖から成る長編物語作品

《書名》

源氏物語

『源氏の物語』や『光源氏の物語』、『紫のゆかり』などと言われることもある。

《作者》

紫式部 400pxMurasakiShikibucomposingGenjiMonogatari.png 〔紫式部(土佐光起画、石山寺蔵)〕

  • 父親であり漢学者として知られていた藤原為時の役職が「式部烝」であった。

  • そのため、「藤式部」と呼ばれていたが、

  • 『源氏物語』の紫の上にちなんで、

  • 紫式部と呼ばれたらしい。

  • 曽祖父は36歌仙の藤原兼輔であり、家系的に漢文学の知識があったとされる。

  • 紫式部は若くして母を亡くし、父に影響から漢文学と和歌に親しむ。

  • 『紫式部日記』には「私を男として持たなかったのは不幸だ」と言う内容で父を嘆かせたらしい。

  • 20歳頃に父の赴任とともに越前国へ行き、帰京後藤原宣隆と結婚。

*親子ほどの年の差結婚だったらしい。

  • 結婚してすぐに夫は死んでしまう。

  • その後、一条天皇の中宮彰子に仕え、宮仕えを終え40歳頃亡くなったとされる。

  • 他に、『紫式部日記』や私家集『紫式部集』がある。

《成立過程》

明確にはわかっていないが、

『紫式部日記』によると、

寛弘5(1008)年頃には宮中で『源氏物語』が読まれていたらしく、評判にまでなっていたそうだ。

長保3(1001)年の夫の死を契機として、寂しさを紛らわすために物語を描き始め、宮仕え後も執筆が続けられたと推測される。

ただ、紫式部が全て書いたのかどうかと言う議論も起こっている。

第1帖「桐壺」から順に書かれたのではなく、

「帚木」や「若紫」から描き始められた可能性も指摘される。

*まず現在の54帖の形や順番が確かかも不明である。

《表現》

和歌的情趣に彩られた流麗な和文体

引き歌を多用している。

巧みな自然描写の中に、人物の心情が描かれ、自然と心の融合がなされる。

《構成》

54帖からなる長編物語作品。

内容上、3つに分けることができる。

*武田宗俊による玉鬘後期説など様々な問題は残るが、一応3つとして考える。

Wikipediaのサイトから、知ってみると面白い説だよ!

玉鬘系・紫上系

また、『源氏物語』は貴種流離譚の話型でもあるよ。

*貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)

高貴な出自の人物が、罪を犯す、または陰謀に乗せられ、生地を離れ、苦難を重ねる話の型で、その後に元の地に戻り権力を回復するものが多い。

☆第1部(第1帖〜第33帖)

光源氏が多くの女性との恋を重ね、須磨明石へ逃げ、悲運を乗り越え栄華を極めるまでの半生

☆第2部(第34帖〜第41帖)

光源氏が理想的人物から絶望的苦悩に悩まされる後半生

☆第3部(第42帖〜第54帖)

薫統治の姫君達の恋

「橋姫」〜「夢浮橋」の宇治が舞台となった巻を宇治十帖という。

《主な登場人物》

光源氏

桐壺帝の第二皇子であるが、源氏姓を賜り臣籍にくだる。

美貌と才能に恵まれている。

頭中将

左大臣の長男。源氏の親友かつライバル的存在。

夕霧

母は、葵上。雲居雁と結婚する。のちに落葉宮とも結婚する。源氏の長男。

柏木

頭中将の長男で、妻は落葉宮。源氏の正妻である女三宮と密通し、薫を産む。夕霧の親友。

桐壺更衣

桐壺帝の更衣で、源氏の母。

藤壺中宮

桐壺帝の中宮で、源氏は母の面影を求め愛され、冷泉帝を出産する。

紫上

兵部卿宮の娘で、藤壺の姪。

藤壺に似ており、源氏に愛された。

葵上

左大臣の娘で、頭中将の妹。夕霧出産にあたり、六条御息所の生霊に苦しめられ死ぬ。

源氏より年上の正妻。

六条御息所

前東宮妃で、前頭宮との間に娘がいる。源氏との将来に絶望し、伊勢へ下向する。

末摘花

赤い花の醜貌ではあるが、源氏の恋人の一人。

明石君

明石を訪れた源氏と結ばれ、明石の姫君を生む。

女三宮

朱雀院の第3皇女。14、5歳で降嫁し、正妻となるが、幼さが残る。

柏木と不義密通し、薫を産む。

源氏の子という世間体での見方に反し、現実は柏木と女三宮の子供。

世間に馴染めず、仏道に興味を持つ。

大君に恋い慕い、中君や浮舟にもその影を追い求める。

匂宮

今上帝の第3皇子。母は明石の中宮。源氏の孫であり、色好み。

薫とは親友であるが、性格は正反対。

大君

宇治の八宮の長女で、独身を貫くことを決め、薫と中君を結婚させようとするも、中君は匂宮と結婚する。

中君

薫によって匂宮と結婚し、男の子を産む。

浮舟

宇治の八宮の3女で、薫の世話を受け、匂宮に愛され板挟みとなり、入水自殺を試みるも失敗し、出家する。

《各帖に書かれている内容》

第1帖「桐壺」

光君が誕生するも、母である桐壺更衣が死んでしまう。

弘徽殿女御の第一皇子が東宮となる。

光君は源氏の姓をもらう。

桐壺更衣によく似た藤壺更衣が入内する。

源氏は、葵上と結婚するも、藤壺女御のことを密かに恋慕う。

1_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第2帖「帚木」(ははきぎ)

五月雨の夜に源氏は頭中将らから女性に関する体験談を聞き、女性の魅力を知る。

空蝉に会い、魅力に惹かれる。

2_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第3帖「空蝉」(うつせみ)

源氏は空蝉の様子を垣間見し、夜に空蝉の元へ忍び込む。

空蝉に逃げられ、源氏は空蝉の継嫁と一夜を過ごす。

3_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第4帖「夕顔」

源氏は、病気の乳母を見舞いに行く際に、夕顔と出会う。

夕顔は源氏とともに行った某院で物怪に取り憑かれて死ぬ。

4_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第5帖「若紫」

藤壺に良く似た紫上を見つける。

藤壺の元へ忍び込み、逢瀬を持ち、藤壺は懐妊する。

源氏は紫上を二条院へ引き取る。

5_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第6帖「末摘花」(すえつむはな)

源氏は、末摘花の噂を聞き、通い始めるも、赤く長い鼻をした容貌に驚く。

ただ見捨てはせず、世話をする。

6_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第7帖「紅葉賀」(もみじのが)

源氏と頭中将は青海波を舞う。

藤壺が皇子を産む。実際は源氏の子であるため、源氏と藤壺は罪の意識を持つ。

秋に藤壺は中宮となる。

7_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第8帖「花宴」(はなのえん)

朧月夜に会い、扇を取り交わす。 8_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第9帖「葵」

桐壺帝から朱雀帝へ譲位する。藤壺の皇子が東宮となる。

源氏を見に来た、葵上と六条御息所との間で車争いが起こり、六条御息所は葵上を恨む。

葵上は夕霧を出産し、六条御息所の生霊に取り憑かれ、死ぬ。

源氏は紫上と結ばれる。

9_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第10帖「賢木」(さかき)

六条御息所は源氏と離れるために伊勢へ下向する決心をし、源氏は別れを惜しむ。

桐壺院が亡くなる。

藤壺が出家する。

朧月夜との密会現場が見つかり、弘徽殿大后が源氏の失脚を目論む。

10_page0001.jpg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第11帖「花散里」(はなちるさと)

源氏は花散里を訪ね、昔を偲び和歌を交わす。

11.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第12帖「須磨」

源氏は追い込まれ、須磨へと退去する。

生活は侘しいが、京都の人々と文通し、慰む。

暴風雨に見舞われる。

12.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第13帖「明石」

須磨をさり、明石へ移る。明石の君と結ばれる。

源氏召還の宣旨により、懐妊中の明石の君と別れ、帰京する。

13.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第14帖「澪標」(みおつくし)

朱雀帝から冷泉帝に譲位する。源氏は内大臣に昇進する。

明石の君が明石の姫君を産む。

六条御息所が源氏に前斎宮を託し、亡くなる。

14.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第15帖「蓬生」(よもぎう)

源氏は、末妻花と再会するも、貧窮している様子を見て、二条院へ引き取る。

15.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第16帖「関屋」(せきや)

源氏は空蝉と再会するも、夫の死後、空蝉は出家する。

16.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第17帖「絵合」

前斎宮が入内し、梅壺女御と呼ばれる。

宮中で絵合わせが行われ、源氏の須磨での絵日記を出した梅壺女御が勝つ。

17.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第18帖「松風」

明石の君が明石の姫君を連れて上京する。

18.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第19帖「薄雲」

源氏は明石の姫君を紫上の養女とし、二条院に引き取る。

藤壺が病のため亡くなり、源氏は悲しみに暮れる。

冷泉帝が出自を知り、源氏にくらいを譲ろうとするも固辞する。

*冷泉帝は、藤壺と源氏の子供(第5帖と第7帖参考に)

春秋優劣論で、梅壺女御は秋に興味を寄せる。

19.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第20帖「朝顔」

源氏のいとこに当たる朝顔姫君が斎院を退く。

源氏の告白に、朝顔姫君は応じず。

藤壺が夢に出てきて、恨み言を言う。

20.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第21帖「少女」(おとめ)

夕霧が元服し、源氏の厳しい教育により学問に励む。

梅壺女御が中宮になり、源氏は太政大臣になる。

夕霧と雲居雁は恋仲であるが、頭中将(雲居雁の父)に反対される。

六条院が完成し、紫上・花散里・秋好中宮・明石君などを住まわせる。

21.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第22帖「玉鬘」(たまかずら)

玉鬘が筑紫で成長する。源氏は玉鬘を六条院に引き取り、養女分とする。

22.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第23帖「初音」

六条院の新春を紫上と祝い、花散里・玉鬘・明石の君の部屋を訪れる。

23.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第24帖「胡蝶」

六条院の紫上の御殿で船楽を催す。

玉鬘の美しさを聞き、貴公子が恋文を寄せるが、源氏も玉鬘に意中を打ち明け、玉鬘は混乱する。

24.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第25帖「蛍」

蛍兵部卿宮が玉鬘を訪れ、源氏の放った蛍の光に照らされた玉鬘を見て、心奪われる。

玉鬘に源氏は物語論を話す。

25.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第26帖「常夏」

死んだ夕顔を忍び、源氏は玉鬘と常夏の和歌を読み交わす。

頭中将の引き取っていた近江君が無教養で笑い物にされる。

26.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第27帖「篝火」(かがりび)

源氏は、篝火に美しく映える玉鬘と歌を読み交わす。

27.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第28帖「野分」(のわき)

野分の見舞いに夕霧が訪れた際に、紫上の美しさに心奪われる。

同時に、玉鬘に寄り添う源氏に不信感を抱く。

28.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第29帖「行幸」(みゆき)

大原野の行幸を玉鬘は見物し、冷泉帝に惹かれる。

源氏は、玉鬘を入内させたく準備をさせ、それを内大臣(頭中将)に伝えると、感謝される。

29.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第30帖「藤袴」

玉鬘には熱心な求婚者がおり、蛍兵部卿宮にのみ返事をする。

30.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第31帖「真木柱」

玉鬘は髭黒大将と結婚せざるを得なくなり悲しみ、源氏も呆然とする。

髭黒大将の北の方が時々狂気じみた発作を起こし、真木柱を連れ実家に戻り、翌年玉鬘は出産する。

31.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第32帖「梅枝」(うめがえ)

明石の姫君の裳着と東宮への入内準備が行われる。

六条院で薫物合が行われる。

32.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第33帖「藤裏葉」(ふじのうらば)

夕霧が雲居雁と結婚する。

明石の姫君が入内し、女御となり、紫上と明石の君は初対面する。

源氏は准太上天皇となる。

33.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第34帖「若菜上」(わかなのじょう)

出家を決意した朱雀院が、娘(女三宮)の後見を源氏に託す。

源氏40歳の賀が行われ、玉鬘から若菜が贈られる。

女三宮と結婚するも、源氏は女三宮の幼さに失望し、紫上への愛が深まる。

明石女御がのちの東宮を出産する。

柏木(頭中将の長男)は女三宮に恋心を抱く。

34.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第35帖「若菜下」(わかなのげ)

蛍兵部卿宮が真木柱と結婚する。

冷泉帝から今上帝へと譲位される。

紫の上が出家を望むようになる。

源氏は紫上と明石君一行とともに住吉神社へ行く。

六条院で女楽が催され、源氏は女性に花を贈り、半生を振り返った。

紫上が病に落ち、二条院へ移る。

柏木が女三宮と不義密通しするも源氏にばれ、病床に臥す。

35.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第36帖「柏木」

女三宮は薫を出産する。

柏木が死んでしまう。

薫を抱きながら、源氏は柏木の死を憐れむ。

夕霧が落葉宮を訪問し、和歌を読み交わす。

36.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第37帖「横笛」

夕霧は、一条御息所から柏木が愛していた笛を贈られる。

夕霧の夢に柏木が現れ、笛を他の人に伝えたいと言われ、夕霧は源氏に預けた。

37.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第38帖「鈴虫」

女三宮の持仏開眼供養が行われ、虫の音を愛でる。

38.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第39帖「夕霧」

夕霧は落葉宮に恋心を寄せるも、反応されず。

一条御息所が死ぬ。

夕霧が強引に落葉宮と結婚する。

39.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第40帖「御法」(みのり)

出家を願う紫上だが、源氏が許さない。

紫上が死に、源氏は悲観にくれる。

40.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第41帖「幻」

紫の上の忍びつつ、出家の準備をする。

41.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第42帖「匂宮」(みおうのみや)

源氏の死後、薫(父は柏木、母は女三宮)と匂宮(母は明石中宮)がもてはやされる。

匂宮は社交的で明るいが、薫は誠実であるが暗さもある。

42.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第43帖「紅梅」(こうばい)

真木柱が夫の死後、姫君を連れて紅梅大納言と結婚する。

匂宮は真木柱の姫君に引かれて行く。

43.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第44帖「竹河」(たけかわ)

髭黒の死後、姉姫君は冷泉帝に、妹姫君は今上帝に入内する。

44.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第45帖「橋姫」

薫は宇治を訪れるようになり、中秋の名月の夜に大君と中君を垣間見る。

薫は、次第に姉の大君に惹かれて行く。

薫は宇治で出生の秘密を知り、思い悩む。

45.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第46帖「椎本」(しいがもと)

匂宮は薫から話を聞き、宇治を訪れる。

八宮が薫に娘の後事を託し、亡くなる。

46.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第47帖「総角」(あげまき)

薫は大君に求婚するも拒否される。大君は中君と薫の結婚を望む。

匂宮を宇治に連れて行き、中君に合わせ、結婚させようと目論む。

匂宮は夕霧の六君と婚約する。大君が薫に看取られ死ぬ。

47.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第48帖「早蕨」(さわらび)

中君が二条院の匂宮の元へ迎えられる。

48.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第49帖「宿木」(やどりぎ)

匂宮は六君と結婚し、中君は不安な日々をくらす。

薫は浮舟に興味を寄せる。

中君は出産し、立場が安定する。

薫は気が進まないが女二宮と結婚する。

薫は浮舟を垣間見し、心惹かれる。

49.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第50帖「東屋」(あずまや)

左近少将と婚約破談になった浮舟は中君の元へ預けられる。

匂宮は浮舟に近づき、三条の小家へ戻す。

薫と浮舟は結ばれ、宇治へと向かう。

50.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第51帖「浮舟」

匂宮が宇治を訪れ、薫を装い浮き舟の部屋へ入る。

浮舟は薫宮に惹かれて行く。

薫と匂宮とで心が揺れ動いた浮舟は、入水を決意する。

51.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第52帖「蜻蛉」(かげろう)

浮舟失踪を知った薫と匂宮は悲しむが、なすすべなく遺骸なしで葬儀を行う。

52.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第53帖「手習」(てならい)

宇治院で 倒れていた浮舟が見つかる。意識を取り戻した浮舟だが、出家を決意する。

浮舟が生きていることを知った薫は、横川へ行く決意をする。

53.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

第54帖「夢浮橋」(ゆめのうきはし)

薫は横川へいき、浮舟生存を確かめる。

薫は弟を浮き舟のいる場所へつかわすが、浮舟は会いもせず、手紙も書かない。

弟は虚しく帰る。

54.jpeg 〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕

《史的意義》

『源氏物語』は、以下の集大成である。

  • 『竹取物語』などの伝奇物語における虚構性

  • 『伊勢物語』など歌物語における叙情性

  • 『蜻蛉日記』など日記文学における自照性

→紫式部は、虚構こそ人間の真実を捉えるという文学観に立っており、

虚構の軸に光源氏をそえ、写実的多角的な描写で人物を描いた。

江戸時代の国学者である本居宣長は、『源氏物語』の本質を「もののあはれ」にあると考えた。

*「もののあはれ

→男女や肉親の愛情、四季の移ろいに対する感動を表すことば

*「あはれ

→しみじみとした情趣や情感をさす。

「をかし」が明るく笑いを伴うイメージで用いられるのに対し、

「あはれ」は悲哀感を伴うイメージで使われる。

『源氏物語』は、後世にも多大な影響を与え、近代まで跡を辿ることができる。

《「桐壺」書き出し》

いづれの御時にか、女御かうゐ、あまたさぶらひ給ける中に、

いとやんごとなきゝはにはあらぬが、すぐれてときめき給ふありけり。

はじめより我はと思ひ上がり給へる御方々、めざましきものにおとしめ嫉み給ふ。

同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。

朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、

いと篤しくなりゆき、もの心細げに 里がちなるを、

いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせ給はず、

世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。

*挿入図は、国文学研究所所蔵のリンクより、使用。

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