日本文学史マスターへの道⑪『源氏物語』
日本文学史マスターへの道
『源氏物語』
〔日本古典籍データセットより、源氏物語〕
源氏物語は、みなさん名前を聞いたことはあるでしょう。
NHK大河ドラマ光る君へもやっていますね。
最近池袋のジュンク堂に行ったら、本棚が3台も『源氏物語』関連でした。
ここで紹介しなくとも、本屋に行けば必ずお気に入りの一冊が見つかるはずですね!
さて本題に入り、光源氏といえば、色好み、女好きというイメージを持つかもしれませんが、果たしてそうなのでしょうか?
全て読んでわかること、もあるかもしれませんね。
ただ、漫画などではかなり色好みな部分が目立ってしまう、そこがおもしろいと言う矛盾もあるかもしれませんが。
光源氏の真の姿を解明しましょう!
このページではいつも通り、日本文学史マスターへの道としてまじ〜めに雑学を学びましょう。
《確認ポイント》
✔︎紫式部の『源氏物語』
✔紫式部は中宮彰子に仕えた
✔︎54帖から成る長編物語作品
《書名》
『源氏物語』
『源氏の物語』や『光源氏の物語』、『紫のゆかり』などと言われることもある。
《作者》
紫式部
〔紫式部(土佐光起画、石山寺蔵)〕
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父親であり漢学者として知られていた藤原為時の役職が「式部烝」であった。
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そのため、「藤式部」と呼ばれていたが、
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『源氏物語』の紫の上にちなんで、
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紫式部と呼ばれたらしい。
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曽祖父は36歌仙の藤原兼輔であり、家系的に漢文学の知識があったとされる。
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紫式部は若くして母を亡くし、父に影響から漢文学と和歌に親しむ。
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『紫式部日記』には「私を男として持たなかったのは不幸だ」と言う内容で父を嘆かせたらしい。
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20歳頃に父の赴任とともに越前国へ行き、帰京後藤原宣隆と結婚。
*親子ほどの年の差結婚だったらしい。
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結婚してすぐに夫は死んでしまう。
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その後、一条天皇の中宮彰子に仕え、宮仕えを終え40歳頃亡くなったとされる。
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他に、『紫式部日記』や私家集『紫式部集』がある。
《成立過程》
明確にはわかっていないが、
『紫式部日記』によると、
寛弘5(1008)年頃には宮中で『源氏物語』が読まれていたらしく、評判にまでなっていたそうだ。
長保3(1001)年の夫の死を契機として、寂しさを紛らわすために物語を描き始め、宮仕え後も執筆が続けられたと推測される。
ただ、紫式部が全て書いたのかどうかと言う議論も起こっている。
第1帖「桐壺」から順に書かれたのではなく、
「帚木」や「若紫」から描き始められた可能性も指摘される。
*まず現在の54帖の形や順番が確かかも不明である。
《表現》
和歌的情趣に彩られた流麗な和文体
引き歌を多用している。
巧みな自然描写の中に、人物の心情が描かれ、自然と心の融合がなされる。
《構成》
54帖からなる長編物語作品。
内容上、3つに分けることができる。
*武田宗俊による玉鬘後期説など様々な問題は残るが、一応3つとして考える。
Wikipediaのサイトから、知ってみると面白い説だよ!
また、『源氏物語』は貴種流離譚の話型でもあるよ。
*貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)
高貴な出自の人物が、罪を犯す、または陰謀に乗せられ、生地を離れ、苦難を重ねる話の型で、その後に元の地に戻り権力を回復するものが多い。
☆第1部(第1帖〜第33帖)
光源氏が多くの女性との恋を重ね、須磨明石へ逃げ、悲運を乗り越え栄華を極めるまでの半生
☆第2部(第34帖〜第41帖)
光源氏が理想的人物から絶望的苦悩に悩まされる後半生
☆第3部(第42帖〜第54帖)
薫統治の姫君達の恋
「橋姫」〜「夢浮橋」の宇治が舞台となった巻を宇治十帖という。
《主な登場人物》
◎光源氏
桐壺帝の第二皇子であるが、源氏姓を賜り臣籍にくだる。
美貌と才能に恵まれている。
◎頭中将
左大臣の長男。源氏の親友かつライバル的存在。
◎夕霧
母は、葵上。雲居雁と結婚する。のちに落葉宮とも結婚する。源氏の長男。
◎柏木
頭中将の長男で、妻は落葉宮。源氏の正妻である女三宮と密通し、薫を産む。夕霧の親友。
◎桐壺更衣
桐壺帝の更衣で、源氏の母。
◎藤壺中宮
桐壺帝の中宮で、源氏は母の面影を求め愛され、冷泉帝を出産する。
◎紫上
兵部卿宮の娘で、藤壺の姪。
藤壺に似ており、源氏に愛された。
◎葵上
左大臣の娘で、頭中将の妹。夕霧出産にあたり、六条御息所の生霊に苦しめられ死ぬ。
源氏より年上の正妻。
◎六条御息所
前東宮妃で、前頭宮との間に娘がいる。源氏との将来に絶望し、伊勢へ下向する。
◎末摘花
赤い花の醜貌ではあるが、源氏の恋人の一人。
◎明石君
明石を訪れた源氏と結ばれ、明石の姫君を生む。
◎女三宮
朱雀院の第3皇女。14、5歳で降嫁し、正妻となるが、幼さが残る。
柏木と不義密通し、薫を産む。
◎薫
源氏の子という世間体での見方に反し、現実は柏木と女三宮の子供。
世間に馴染めず、仏道に興味を持つ。
大君に恋い慕い、中君や浮舟にもその影を追い求める。
◎匂宮
今上帝の第3皇子。母は明石の中宮。源氏の孫であり、色好み。
薫とは親友であるが、性格は正反対。
◎大君
宇治の八宮の長女で、独身を貫くことを決め、薫と中君を結婚させようとするも、中君は匂宮と結婚する。
◎中君
薫によって匂宮と結婚し、男の子を産む。
◎浮舟
宇治の八宮の3女で、薫の世話を受け、匂宮に愛され板挟みとなり、入水自殺を試みるも失敗し、出家する。
《各帖に書かれている内容》
◎第1帖「桐壺」
光君が誕生するも、母である桐壺更衣が死んでしまう。
弘徽殿女御の第一皇子が東宮となる。
光君は源氏の姓をもらう。
桐壺更衣によく似た藤壺更衣が入内する。
源氏は、葵上と結婚するも、藤壺女御のことを密かに恋慕う。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第2帖「帚木」(ははきぎ)
五月雨の夜に源氏は頭中将らから女性に関する体験談を聞き、女性の魅力を知る。
空蝉に会い、魅力に惹かれる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第3帖「空蝉」(うつせみ)
源氏は空蝉の様子を垣間見し、夜に空蝉の元へ忍び込む。
空蝉に逃げられ、源氏は空蝉の継嫁と一夜を過ごす。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第4帖「夕顔」
源氏は、病気の乳母を見舞いに行く際に、夕顔と出会う。
夕顔は源氏とともに行った某院で物怪に取り憑かれて死ぬ。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第5帖「若紫」
藤壺に良く似た紫上を見つける。
藤壺の元へ忍び込み、逢瀬を持ち、藤壺は懐妊する。
源氏は紫上を二条院へ引き取る。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第6帖「末摘花」(すえつむはな)
源氏は、末摘花の噂を聞き、通い始めるも、赤く長い鼻をした容貌に驚く。
ただ見捨てはせず、世話をする。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第7帖「紅葉賀」(もみじのが)
源氏と頭中将は青海波を舞う。
藤壺が皇子を産む。実際は源氏の子であるため、源氏と藤壺は罪の意識を持つ。
秋に藤壺は中宮となる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第8帖「花宴」(はなのえん)
朧月夜に会い、扇を取り交わす。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第9帖「葵」
桐壺帝から朱雀帝へ譲位する。藤壺の皇子が東宮となる。
源氏を見に来た、葵上と六条御息所との間で車争いが起こり、六条御息所は葵上を恨む。
葵上は夕霧を出産し、六条御息所の生霊に取り憑かれ、死ぬ。
源氏は紫上と結ばれる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第10帖「賢木」(さかき)
六条御息所は源氏と離れるために伊勢へ下向する決心をし、源氏は別れを惜しむ。
桐壺院が亡くなる。
藤壺が出家する。
朧月夜との密会現場が見つかり、弘徽殿大后が源氏の失脚を目論む。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第11帖「花散里」(はなちるさと)
源氏は花散里を訪ね、昔を偲び和歌を交わす。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第12帖「須磨」
源氏は追い込まれ、須磨へと退去する。
生活は侘しいが、京都の人々と文通し、慰む。
暴風雨に見舞われる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第13帖「明石」
須磨をさり、明石へ移る。明石の君と結ばれる。
源氏召還の宣旨により、懐妊中の明石の君と別れ、帰京する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第14帖「澪標」(みおつくし)
朱雀帝から冷泉帝に譲位する。源氏は内大臣に昇進する。
明石の君が明石の姫君を産む。
六条御息所が源氏に前斎宮を託し、亡くなる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第15帖「蓬生」(よもぎう)
源氏は、末妻花と再会するも、貧窮している様子を見て、二条院へ引き取る。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第16帖「関屋」(せきや)
源氏は空蝉と再会するも、夫の死後、空蝉は出家する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第17帖「絵合」
前斎宮が入内し、梅壺女御と呼ばれる。
宮中で絵合わせが行われ、源氏の須磨での絵日記を出した梅壺女御が勝つ。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第18帖「松風」
明石の君が明石の姫君を連れて上京する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第19帖「薄雲」
源氏は明石の姫君を紫上の養女とし、二条院に引き取る。
藤壺が病のため亡くなり、源氏は悲しみに暮れる。
冷泉帝が出自を知り、源氏にくらいを譲ろうとするも固辞する。
*冷泉帝は、藤壺と源氏の子供(第5帖と第7帖参考に)
春秋優劣論で、梅壺女御は秋に興味を寄せる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第20帖「朝顔」
源氏のいとこに当たる朝顔姫君が斎院を退く。
源氏の告白に、朝顔姫君は応じず。
藤壺が夢に出てきて、恨み言を言う。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第21帖「少女」(おとめ)
夕霧が元服し、源氏の厳しい教育により学問に励む。
梅壺女御が中宮になり、源氏は太政大臣になる。
夕霧と雲居雁は恋仲であるが、頭中将(雲居雁の父)に反対される。
六条院が完成し、紫上・花散里・秋好中宮・明石君などを住まわせる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第22帖「玉鬘」(たまかずら)
玉鬘が筑紫で成長する。源氏は玉鬘を六条院に引き取り、養女分とする。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第23帖「初音」
六条院の新春を紫上と祝い、花散里・玉鬘・明石の君の部屋を訪れる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第24帖「胡蝶」
六条院の紫上の御殿で船楽を催す。
玉鬘の美しさを聞き、貴公子が恋文を寄せるが、源氏も玉鬘に意中を打ち明け、玉鬘は混乱する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第25帖「蛍」
蛍兵部卿宮が玉鬘を訪れ、源氏の放った蛍の光に照らされた玉鬘を見て、心奪われる。
玉鬘に源氏は物語論を話す。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第26帖「常夏」
死んだ夕顔を忍び、源氏は玉鬘と常夏の和歌を読み交わす。
頭中将の引き取っていた近江君が無教養で笑い物にされる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第27帖「篝火」(かがりび)
源氏は、篝火に美しく映える玉鬘と歌を読み交わす。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第28帖「野分」(のわき)
野分の見舞いに夕霧が訪れた際に、紫上の美しさに心奪われる。
同時に、玉鬘に寄り添う源氏に不信感を抱く。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第29帖「行幸」(みゆき)
大原野の行幸を玉鬘は見物し、冷泉帝に惹かれる。
源氏は、玉鬘を入内させたく準備をさせ、それを内大臣(頭中将)に伝えると、感謝される。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第30帖「藤袴」
玉鬘には熱心な求婚者がおり、蛍兵部卿宮にのみ返事をする。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第31帖「真木柱」
玉鬘は髭黒大将と結婚せざるを得なくなり悲しみ、源氏も呆然とする。
髭黒大将の北の方が時々狂気じみた発作を起こし、真木柱を連れ実家に戻り、翌年玉鬘は出産する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第32帖「梅枝」(うめがえ)
明石の姫君の裳着と東宮への入内準備が行われる。
六条院で薫物合が行われる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第33帖「藤裏葉」(ふじのうらば)
夕霧が雲居雁と結婚する。
明石の姫君が入内し、女御となり、紫上と明石の君は初対面する。
源氏は准太上天皇となる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第34帖「若菜上」(わかなのじょう)
出家を決意した朱雀院が、娘(女三宮)の後見を源氏に託す。
源氏40歳の賀が行われ、玉鬘から若菜が贈られる。
女三宮と結婚するも、源氏は女三宮の幼さに失望し、紫上への愛が深まる。
明石女御がのちの東宮を出産する。
柏木(頭中将の長男)は女三宮に恋心を抱く。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第35帖「若菜下」(わかなのげ)
蛍兵部卿宮が真木柱と結婚する。
冷泉帝から今上帝へと譲位される。
紫の上が出家を望むようになる。
源氏は紫上と明石君一行とともに住吉神社へ行く。
六条院で女楽が催され、源氏は女性に花を贈り、半生を振り返った。
紫上が病に落ち、二条院へ移る。
柏木が女三宮と不義密通しするも源氏にばれ、病床に臥す。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第36帖「柏木」
女三宮は薫を出産する。
柏木が死んでしまう。
薫を抱きながら、源氏は柏木の死を憐れむ。
夕霧が落葉宮を訪問し、和歌を読み交わす。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第37帖「横笛」
夕霧は、一条御息所から柏木が愛していた笛を贈られる。
夕霧の夢に柏木が現れ、笛を他の人に伝えたいと言われ、夕霧は源氏に預けた。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第38帖「鈴虫」
女三宮の持仏開眼供養が行われ、虫の音を愛でる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第39帖「夕霧」
夕霧は落葉宮に恋心を寄せるも、反応されず。
一条御息所が死ぬ。
夕霧が強引に落葉宮と結婚する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第40帖「御法」(みのり)
出家を願う紫上だが、源氏が許さない。
紫上が死に、源氏は悲観にくれる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第41帖「幻」
紫の上の忍びつつ、出家の準備をする。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第42帖「匂宮」(みおうのみや)
源氏の死後、薫(父は柏木、母は女三宮)と匂宮(母は明石中宮)がもてはやされる。
匂宮は社交的で明るいが、薫は誠実であるが暗さもある。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第43帖「紅梅」(こうばい)
真木柱が夫の死後、姫君を連れて紅梅大納言と結婚する。
匂宮は真木柱の姫君に引かれて行く。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第44帖「竹河」(たけかわ)
髭黒の死後、姉姫君は冷泉帝に、妹姫君は今上帝に入内する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第45帖「橋姫」
薫は宇治を訪れるようになり、中秋の名月の夜に大君と中君を垣間見る。
薫は、次第に姉の大君に惹かれて行く。
薫は宇治で出生の秘密を知り、思い悩む。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第46帖「椎本」(しいがもと)
匂宮は薫から話を聞き、宇治を訪れる。
八宮が薫に娘の後事を託し、亡くなる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第47帖「総角」(あげまき)
薫は大君に求婚するも拒否される。大君は中君と薫の結婚を望む。
匂宮を宇治に連れて行き、中君に合わせ、結婚させようと目論む。
匂宮は夕霧の六君と婚約する。大君が薫に看取られ死ぬ。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第48帖「早蕨」(さわらび)
中君が二条院の匂宮の元へ迎えられる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第49帖「宿木」(やどりぎ)
匂宮は六君と結婚し、中君は不安な日々をくらす。
薫は浮舟に興味を寄せる。
中君は出産し、立場が安定する。
薫は気が進まないが女二宮と結婚する。
薫は浮舟を垣間見し、心惹かれる。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第50帖「東屋」(あずまや)
左近少将と婚約破談になった浮舟は中君の元へ預けられる。
匂宮は浮舟に近づき、三条の小家へ戻す。
薫と浮舟は結ばれ、宇治へと向かう。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第51帖「浮舟」
匂宮が宇治を訪れ、薫を装い浮き舟の部屋へ入る。
浮舟は薫宮に惹かれて行く。
薫と匂宮とで心が揺れ動いた浮舟は、入水を決意する。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第52帖「蜻蛉」(かげろう)
浮舟失踪を知った薫と匂宮は悲しむが、なすすべなく遺骸なしで葬儀を行う。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第53帖「手習」(てならい)
宇治院で 倒れていた浮舟が見つかる。意識を取り戻した浮舟だが、出家を決意する。
浮舟が生きていることを知った薫は、横川へ行く決意をする。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
◎第54帖「夢浮橋」(ゆめのうきはし)
薫は横川へいき、浮舟生存を確かめる。
薫は弟を浮き舟のいる場所へつかわすが、浮舟は会いもせず、手紙も書かない。
弟は虚しく帰る。
〔国文学研究資料館所蔵、『源氏物語』より〕
《史的意義》
『源氏物語』は、以下の集大成である。
- 『竹取物語』などの伝奇物語における虚構性
+
- 『伊勢物語』など歌物語における叙情性
+
- 『蜻蛉日記』など日記文学における自照性
→紫式部は、虚構こそ人間の真実を捉えるという文学観に立っており、
虚構の軸に光源氏をそえ、写実的多角的な描写で人物を描いた。
江戸時代の国学者である本居宣長は、『源氏物語』の本質を「もののあはれ」にあると考えた。
*「もののあはれ」
→男女や肉親の愛情、四季の移ろいに対する感動を表すことば
*「あはれ」
→しみじみとした情趣や情感をさす。
「をかし」が明るく笑いを伴うイメージで用いられるのに対し、
「あはれ」は悲哀感を伴うイメージで使われる。
『源氏物語』は、後世にも多大な影響を与え、近代まで跡を辿ることができる。
《「桐壺」書き出し》
いづれの御時にか、女御かうゐ、あまたさぶらひ給ける中に、
いとやんごとなきゝはにはあらぬが、すぐれてときめき給ふありけり。
はじめより我はと思ひ上がり給へる御方々、めざましきものにおとしめ嫉み給ふ。
同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。
朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、
いと篤しくなりゆき、もの心細げに 里がちなるを、
いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせ給はず、
世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
*挿入図は、国文学研究所所蔵のリンクより、使用。