第一宇宙速度
概要
地球上の高い山から、十分な速さで水平に物体を投げ出すと、地球の周りを回り続けるだろうとニュートンは考えた。
この時の速さの最小値(ギリギリ回り続けられる速さ)のことを、第一宇宙速度という。
つまり、例えば人工衛星などが、地球の表面すれすれを円軌道するときの速度が第一宇宙速度である。
この速度を理論的に求めてみよう。地球の半径を
で求められる。
導出
地球の質量を
半径方向の運動方程式より、
これを解くと、
ここで、重力加速度と万有引力定数の間の関係式より、
が成り立つ。(上の辞書では
よって、第一宇宙速度は
と求められる。
補足
数値で求めてみよう。重力加速度と地球の半径はそれぞれ
なので、第一宇宙速度は
となる。どれくらいの速さかというと、野球の大谷翔平くんの球のスピードの180倍ほど速い。
ちなみに、上の運動方程式を見るとわかるとおり、地球の周りを回る物体について、円軌道の半径が大きくなれば、速度は小さくなる。(大きな円を動くと、その分早く動いてそうだけど実は違う)
実際に、高度400kmにある国際宇宙ステーションは秒速7.7km程度で、高度36000kmにある、ひまわりなどの静止衛星は秒速3kmであり、高いほどゆっくりであることがわかる。
また、実際の地球は球ではないが、とはいえ割と球に近いので、ここでは近似的に円運動の式で考えている。
地上から打ち上げた物体が、無限遠に飛んでいくために必要な最小の初速度である 第二宇宙速度 もよく問われるので、違いがわかる人になろう。
ちなみに、あまり出てこないが第三宇宙速度もあり、これは太陽系を抜け出して飛んでいくのに必要な最小の初速度を意味する。